治安の物差しとなる犯罪統計は“偽装”されていた。大阪府警が30日、一斉調査の結果を公表した刑法犯認知件数の不正処理問題。事件数の過少計上は問題の発端となった堺署をはじめ全65署で行われ、5年間で約8万件が「ない」ことにされた。背景にあったのは街頭犯罪の「全国ワースト1返上」という大号令。その圧力の中で、現場の感覚はまひした。 「一度悪化した治安は容易に回復しない。そのツケは善良な市民に回される」 平成20年4月、財政再建で大なたを振るう就任初年の橋下徹府知事(当時)を前に、府警の担当者が強い口調で訴えた。 議題になっていたのは、警察官定数を520人削減するという知事直轄のプロジェクトチーム(PT)による改革案だ。 府警側は「あり得ない選択」と猛反発。最終的には橋下氏も「府民は治安向上を期待している」とPT案を撤回した。 議論に強い橋下氏を相手に定数を死守したが、9年連続で全国最悪だった街頭