崩壊しかかっている訪問介護を衆院選の争点にして―。ヘルパー不足が深刻化し、事業所の閉鎖や倒産が続出する現場から切実な声が相次いでいる。事業所に支払われる介護報酬の基本報酬が4月の改定で削減され、主に地域密着の中小事業者の経営が悪化したためだ。「このままでは在宅の要介護高齢者は放置され、無残なことになる」。懸念の声は政治に届くのか。(五十住和樹) 「4月以降、あちこちで事業所閉鎖の話ばかり」。東京都北区で訪問介護事業所を運営する40代女性は嘆いた。女性によると、約60の事業所がある同区では3カ所が閉じた(予定も含む)。利用者は他の事業所が引き継いだか、自宅で介護を受けるのを諦めてサービス付き高齢者向け住宅などに移った人も多いという。 女性の事業所はヘルパー20人の平均年齢が61歳。最高齢は75歳だ。腰や膝の痛みを抱え、ベッドから車いすへの移乗や入浴などの身体介護ができない人もいる。家事などを