公娼制や従軍慰安婦制度でつきものの、前借金契約は、現代日本では違法だ、とは皆が理解しているところだと思いますが、実際の法律ではどうなっているか気になるところです。 労働基準法で、「前借金」という言葉が登場するのは、第17条です。 (前借金相殺の禁止) 第十七条 使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。 前借金と賃金を相殺することは明確に禁止されていますが、前借金をさせておいて、「やめたら、前借金を耳を揃えて返してもらうからな」と労働を強制するのは違法じゃない、と言い出す人がいそうです。 そこで、出てくるのが、同じ労働基準法の第5条です。 (強制労働の禁止) 第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。 条文中に「前借金」という言葉は出てきません。しかし、