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ブックマーク / sportiva.shueisha.co.jp (83)

  • 「曲に体の細胞が全部反応している!」高橋大輔の演技に長光歌子が感じた才能とは

    フィギュアスケート・長光歌子インタビュー第1回(全4回) 長光歌子コーチは、50年以上にわたってフィギュアスケート界で指導者を続けてきた。 浅沼まり、今川知子、澤田亜紀、田中刑事、三宅星南など男女を問わず、五輪出場や全日選手権で上位に入るトップスケーターたちを数多く輩出している。なかでも、高橋大輔とは二人三脚で、日男子初の五輪メダル、世界選手権優勝、グランプリファイナル優勝と、華々しく男子フィギュアの歴史を変えた。名伯楽と言えるわけだが......。 「皆さんが築いてきたもののあとに、私たちがいるだけだと思っています」 長光は謙虚にそう言って、今も指導を続けるが、その経験からくる言葉には宝玉の輝きがある。そこで今回は連作インタビューで、先駆者である高橋との逸話を中心に、「フィギュアスケート界の昔と今」を語ってもらった。そこから見えてくる未来もあるはずだーー。 第1回は、不世出のフィギュ

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  • 高橋大輔のパイオニアとしての熱量がほとばしる アイスショー『滑走屋』に込めた思い

    小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto) 「滑走屋」のゲネプロに登場した高橋大輔 2月9日、オーヴィジョンアイスアリーナ福岡。夜のとばりが落ち、アイスショー『滑走屋』のゲネプロ(通し稽古)が行なわれている。宣伝ポスターに「新感覚」と銘打たれていたが、まさに先入観を打ち破る作品だった。 【常識をくつがえすパイオニア】 14分間5曲のオープニング、冒頭から破天荒である。 青や赤やオレンジのライトが混ざり合い、リンクは幻想的な世界に。全員のスケーターが真っ黒な衣装に身を包んで、鍛えた体をしなやかに弾ませ、ひとつに集まっては飛び散るように跳ね上がる。鼓動で脈を打つような音に合わせ、ひとつひとつの細胞が激しくうごめくようで、それぞれが重なり合って生命力を漲らせた。 そこから約75分間、怒涛の疾走劇だ

    高橋大輔のパイオニアとしての熱量がほとばしる アイスショー『滑走屋』に込めた思い
  • 村元哉中・高橋大輔の「かなだい」は同じ船に乗る同志「これ以上の作品を作れるパートナーはいない」 今後はアイスショーなどで活動続行

    webスポルティーバその他競技の記事一覧フィギュア村元哉中・高橋大輔の「かなだい」は同じ船に乗る同志「これ以上の作品を作れるパートナーはいない」 今後はアイスショーなどで活動続行 5月2日、現役引退会見をした村元哉中・高橋大輔組この記事に関連する写真を見る 2019年9月、横浜。ホテルの広間には、大勢の報道陣が集まっていた。アイスダンスのカップル結成会見に登場したふたりは、初々しかった。 「何かポーズを取ってください!」 取材カメラマンの要求に、すでにアイスダンス第一人者だった村元哉中が、シングルからアイスダンスへ転向が決まっていた高橋大輔をエスコートするようにポーズを取った。村元が右手で高橋の右手を引いて腰に回し、左手を前に突き出し、高橋の左手を握る。高橋は体を密着させるのを躊躇う羞恥があり、村元が励ますように表情を作っていた。 それが「アイスダンサー前夜」の姿だった。 そして2023

    村元哉中・高橋大輔の「かなだい」は同じ船に乗る同志「これ以上の作品を作れるパートナーはいない」 今後はアイスショーなどで活動続行
  • フィギュアスケート世界国別対抗戦で感じた「健全な熱気」 どの選手にも拍手と声援を送るファンの姿と盛り上がりの要因

    ●"推し"だけではないフェアな熱気 4月15日、東京体育館で開催されたフィギュアスケートの世界国別対抗戦。長いシーズンの大トリを飾る大会の雰囲気は和やかで華やかだった。各国の選手がブースをいろんなグッズで飾り、応援合戦を繰り広げた。 そして会場全体は、"健全な熱気"を発していた。 世界国別対抗戦で盛り上がる日選手のブースこの記事に関連する写真を見る 男子シングルのフリースケーティング1番目に登場したステファン・ゴゴレフ(カナダ)は、ほとんどの座席が埋まった会場から手拍子を一身に受けている。 ジャンプはあえなく失敗で転倒した。しかし、むしろ励まされるような拍手をもらった。 「さあ、頑張って!」 そんな声に押されるように、ゴゴレフは最後まで滑りきっている。 ひいきの国や選手を推すだけではない。分け隔てなく、演技そのものを讃美し、失敗を腐(くさ)すことなく、拍手と声援を送る。その会場は、各国選

    フィギュアスケート世界国別対抗戦で感じた「健全な熱気」 どの選手にも拍手と声援を送るファンの姿と盛り上がりの要因
  • 「大ちゃんは笑っているみたいで『行けるぞ』って」 「かなだい」村元哉中・高橋大輔が世界フィギュアの氷上で通じ合った瞬間

    小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto) ●「ここまで納得した演技は初めて」 3月25日、さいたまスーパーアリーナ。フィギュアスケートの世界選手権、メインリンクは熱気に包まれていた。アイスダンス・フリーダンスの演技直後、"永遠の一瞬"がそこにあった。 最後のポーズを決めた高橋大輔(37歳)は、『オペラ座の怪人』の世界観から素に戻って、表情をくしゃくしゃに崩した。歓喜、達成感、安堵、無念、感謝、あらゆる感情がいっぺんに顔に出たようだった。 全身を電流が走り抜け、細胞の一つひとつが騒ぎ出し、込み上げるものをコントロールできず、子どものように涙を流していた。 世界フィギュアで総合11位に入った村元哉中・高橋大輔カップルこの記事に関連する写真を見る「3シーズンやってきて、ここまで納得した演技は初め

    「大ちゃんは笑っているみたいで『行けるぞ』って」 「かなだい」村元哉中・高橋大輔が世界フィギュアの氷上で通じ合った瞬間
  • 日本のアイスショーのパイオニアがプロ活動に終止符。「50歳になろうかという人間がコスチュームを着て人前で演技をするのはたやすいことではない」

    webスポルティーバその他競技の記事一覧フィギュア日のアイスショーのパイオニアがプロ活動に終止符。「50歳になろうかという人間がコスチュームを着て人前で演技をするのはたやすいことではない」 佐藤有香インタビュー(前編) 1994年の世界フィギュアスケート選手権で初優勝を飾って、伊藤みどりさん以来日人として2人目(当時)の世界女王の称号を手にした佐藤有香さんが、今年2022年10月の日でのアイスショー(「スターズ・オン・アイス」)を最後に28年7カ月のプロスケーター活動に終止符を打った。 「プロ生活ができたのはみなさんに支えてもらったおかげだと感じましたし、日のアイスショーに最後に出演できたことに感謝の気持ちでいっぱいです。赤いコスチュームで演技した今回のプログラムは『ザ・ストーリー』というナンバーで、ブランディ・カルリル(カーライル)という女性が書いた歌なんですけど、歌詞は彼女にと

    日本のアイスショーのパイオニアがプロ活動に終止符。「50歳になろうかという人間がコスチュームを着て人前で演技をするのはたやすいことではない」
  • 宇野昌磨、NHK杯優勝の裏側にあった誤算も「運がよかった...」。GPファイナルへ向け目指す自分に近づけるか

    webスポルティーバその他競技の記事一覧フィギュア宇野昌磨、NHK杯優勝の裏側にあった誤算も「運がよかった...」。GPファイナルへ向け目指す自分に近づけるか NHK杯フリーの宇野昌磨この記事に関連する写真を見る 11月18日のグランプリ(GP)シリーズ・NHK杯ショートプログラム(SP)では、宇野昌磨(トヨタ自動車)は4回転トーループの失敗により山草太(中京大)に次ぐ2位。それでも、宇野は「トーループの失敗以外はすごくよかった」と話し、トーループについても「跳び方自体は悪くないので、このジャンプを続けていけばうまくいく」と述べた。 翌19日のフリーは、SPで成功した4回転フリップにミスが出た。他の4回転ジャンプとトリプルアクセル2は成功したが、得点源となるコンビネーションジャンプは2だけという滑り。演技終了後は、まあこんなものか、とでも言いたげな表情を浮かべた。合計279.76

    宇野昌磨、NHK杯優勝の裏側にあった誤算も「運がよかった...」。GPファイナルへ向け目指す自分に近づけるか
  • 村元哉中・髙橋大輔「まだ物語の途中」と臨んだ今季。仕上がりの早さの裏にストイックな共同生活があった

    アイスダンスは「密度の濃さが大事」 今年10月、アイスダンスのカップル結成3年目になる村元哉中と髙橋大輔は、グランプリ(GP)シリーズ、スケートアメリカで上々のスタートをきっている。 リズムダンス(RD)は課題のラテンダンス『コンガ』で艶やかに色気を匂わせた。喜びが体内から湧き上がってくるようなダンスで、息もぴったり。黒を基調に原色がちりばめられたふたりの衣装が混ざり合うと、躍動感を生み出した。69.67点というスコア以上の期待感があった。 スケートアメリカに出場した村元哉中・髙橋大輔この記事に関連する写真を見る フリーダンス(FD)は『オペラ座の怪人』で、アイスショー「氷艶」で役者経験も積んでいる髙橋が、物語に引き込む力を見せ、村元が怪人のゆがんだ恋を受け止める。ストレートラインリフト+ローテーショナルリフトはレベル4でため息が出る美しさ、ステーショナルリフトからのスピンの流れも白眉だっ

    村元哉中・髙橋大輔「まだ物語の途中」と臨んだ今季。仕上がりの早さの裏にストイックな共同生活があった
  • フィギュア「りくりゅう」ペアが明かす急成長の理由。試合がない1年で「本当にわかり合えた」

    北京五輪では団体戦で日の初のメダル獲得(銅メダル)に貢献し、個人も日ペア初入賞となる7位。さらに、ロシア勢や中国の2ペアが欠場した世界選手権では、そのチャンスを着実に生かして銀メダル獲得という結果を残した三浦璃来と木原龍一。2019年8月にペアを結成して拠点をカナダのトロントに移してから、わずか3シーズンで世界と戦えるまで成長したきっかけと、その課程を聞いた。 北京五輪に出場した三浦璃来・木原龍一ペアこの記事に関連する写真を見る*** ――ペア結成後の初シーズン(2019-20)は、NHK杯が179.94点で5位。四大陸選手権は167.50点で8位と、ともに前のペアとの得点を大幅に上回る結果でした。その頃から五輪出場を目標に、世界を戦うことを意識できていたのですか。 木原 最初は、「五輪を目標に戦っていこう」と話をしていましたけど、四大陸は自分たちの中ではあまりよくなくて、「このままで

    フィギュア「りくりゅう」ペアが明かす急成長の理由。試合がない1年で「本当にわかり合えた」
  • 平原綾香が憧れる村元哉中&髙橋大輔の演技と素顔。「大好きなふたり。セクシーでカッコよくて」

    2021年、『LUXE』で共演した平原綾香さん(中央)と村元哉中選手(右)、髙橋大輔選手(写真=事務所提供、以下同)この記事に関連する写真を見るアイスダンスのチームを結成してから2シーズンを終えた、「かなだい」こと村元哉中・髙橋大輔。3月下旬に初めての世界選手権に挑んだふたりについて、髙橋が座長を務めたアイスショー『氷艶〜月光かりの如く〜』や『LUXE(リュクス)』で共演したシンガーソングライターの平原綾香さんに話を伺った。『氷艶』の裏話や、平原さんから見た彼らの人となり、世界選手権の感想などをお届けする。 誰もやっていないことに挑む姿勢を尊敬ーー平原さんが村元選手、髙橋選手と初めて共演したのは2019年7月のアイスショー『氷艶〜月光かりの如く〜』ですか? 平原綾香(以下、平原) 村元さんとは『氷艶』が初めての共演で、髙橋さんとはそれまでにも面識はありましたが、仲良くなったのは『氷艶』から

    平原綾香が憧れる村元哉中&髙橋大輔の演技と素顔。「大好きなふたり。セクシーでカッコよくて」
  • 宇野昌磨「まだスケートしているのかよ!って思われるくらい続けたい」。世界王者になっても「人生は変わらない」

    世界王者の凱旋の舞 4月2日、大阪。先月、世界王者となった宇野昌磨(24歳、トヨタ自動車)は、「スターズ・オン・アイス」で帰国後初めてのリンクに立っている。 スターズ・オン・アイスに出演した宇野昌磨この記事に関連する写真を見る「凱旋の舞!」 場内DJにそう紹介されると、『グレイト・スピリット』が流れ出し、クラブにいるような錯覚を与え、空気が変わった。曲の根底にある原始的、宇宙的な世界観が演者の透徹した人生と重なって魂を揺さぶるのか、一瞬で一体感がつくられる。自然と拍手がわき起こり、スタンドでは陶然としたファンの姿があった。 宇野は、その熱流のど真んなかにいた。冒頭の4回転トーループなどのジャンプも見事だったが、とにかくスケーティングで人々を惹きつける力があった。『グレイト・スピリット』は、昨シーズンまでのショートプログラム(SP)曲で、それ以前にはエキシビションで使っていたが、激しいリズム

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  • 宇野昌磨、世界選手権優勝はファンやコーチのために。「自分のためだけにスケートをするのは得意じゃない」

    世界選手権で初優勝を果たした宇野昌磨この記事に関連する写真を見る 新しい時代の扉を開けた 宇野昌磨(24歳、トヨタ自動車)は名曲『ボレロ』の旋律に体を揺らし、最後のステップでは楽しい衝動を抑えられないようだった。目は輝き、肌は潤い、エネルギーに満ちていた。笑顔は自然発生的なもので、あふれ出す輝きがあった。 「ステップの時に笑顔になっていたのは、いろんな気持ちが混ざって」 宇野はそう言って、短く息を吐いた。 「演技をしながら、わりと頑張ったんじゃないかって思ったり、少し体力的にきつかったのもあったり、このステップ、たとえ転んでもステファン(・ランビエルコーチ)に満足してもらえるようにって。ひとつ前のグループから、ほとんど全員の選手の演技を見ていたので、(最後のフリップはシングルになったが)自分がどういう演技内容だったら優勝できるのかは考えていて」 宇野はからみ合った感情を、笑顔ひとつに集約さ

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  • 坂本花織「2度目の大会は自信がある」。北京五輪前に語っていた勝算と下馬評を覆した必然

    2月18日、会見で満面の笑顔を見せた坂花織この記事に関連する写真を見る 北京五輪のマスコット「ビンドゥンドゥン」を頭上にかざした坂花織(21歳、シスメックス)は、満面の笑みを浮かべた。フィギュアスケート女子シングルで、日人選手として12年ぶりのメダルを獲得し会見に臨んだ姿は、拝みたくなるほどの幸福感に満ちていた。何かをやり遂げた人間だけができる表情で、一点の曇りもなかった。 「当に今日までよく頑張った、と自分でも思います」 朗らかな彼女が言うと、いやらしさがないから不思議である。おそらく、少しの飾り気も邪気もないからだろう。当によく頑張ったんだろうな、と共感を覚えるのだ。 もっとも、何も考えずに試練も受けず、五輪で銅メダルを勝ち獲れるはずはない。 苦戦から始まった今季 開幕前、フィギュア女子のメダル争いは「ロシア勢の無敵ぶり」に焦点が当たっていた。ROC(ロシア・オリンピック委員

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  • 髙橋大輔が見せた存在感。五輪シーズンに新たな表現の世界を切り拓く

    小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto) LUXEで主演を務めた髙橋大輔この記事に関連する写真を見るーー「氷艶2019」では主演を務めました。お芝居を演じることは、競技者としてはどう落とし込まれるのでしょう? フィギュアスケーターとして道を切り拓いてきた髙橋大輔に対し、そんな質問を投げたことがある。 「お芝居をやらせてもらってあらためて思ったことは、フィギュアスケートは"表現"というより"ダンス"というか、"音を表現することだな"と思いました。お芝居をやった感覚で言えば、表現というのは人物像をとらえて、前後の物語を考えないとできない。でも、フィギュアスケートの場合は音によって悲しい気持ちが急に明るくなったり、その逆だったり、音楽そのものを表現していて」 髙橋はそう言ったが、彼のスケーティングはそ

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  • 髙橋大輔が築いたフィギュアスケート日本男子の歴史。五輪初メダルの記憶

    小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto) 2010年バンクーバー五輪でフィギュア日男子初のメダルを獲得した髙橋大輔 2010年2月に行なわれたバンクーバー五輪、髙橋大輔はフィギュアスケート日男子で史上初のメダルを獲得している。歴史を作る。乗り越えるべき試練は、尋常ではなかった。 「ケガした時はスケートがしんどかったので、"少し休める"と気が楽になりましたね」 髙橋は当時を振り返って、人懐こく笑った。 08年10月、髙橋は練習中に右膝前十字靭帯を損傷。競技復帰には1年近くがかかると言われ、リハビリは過酷、元に戻る保証もなかった。彼はその暗闇を駆け抜け、輝くメダルを手にしたのだ。 「リハビリは大変でしたけど、『あー』って暗くなるわけではなかったです。なんでかわからないですけど、"ケガしてオリンピ

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  • 髙橋大輔のラストダンスが会場をひとつにする。「失敗を恐れず」

    小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto) 昨年の全日選手権では2位表彰台を獲得した髙橋大輔 12月18日、代々木第一体育館。会場の一角で、拍手がどっと湧き起った。公式練習では6人が同時に滑っていたが、瞬間的にひとりが主役になっていた。 リンクでは、髙橋大輔(33歳)が高く跳びあがり、豪快に4回転トーループを決めたところだった。 「1回も(最近の)練習ではやっていなかったんですけど、今日は調子が良い感じがあって。大会の記念に跳びました(笑)。僕もびっくりで、明日から(の試合で)は、やはらないと思います!」 髙橋は無邪気に言い、人懐こい笑みをこぼした。少しも飾るところがない。日男子フィギュアスケート初の五輪メダリストは、誰よりも自由だった。 「(全日は)何も考えず、失敗を恐れずに」 髙橋

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  • 髙橋大輔がアイスダンサーを目指す理由。「簡単でないのは承知のうえ」

    辛仁夏●文 text by Synn Yinha能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto) アイスダンスへの挑戦を発表した髙橋大輔「フィギュアスケートを競技として長くやっていきたい」 日の男子シングルスケーターとして数々の金字塔を打ち立ててきた髙橋大輔は、そう言って、今年9月末にアイスダンス転向を決めた。 昨季、4年のブランクを経て現役復帰を果たし、全日選手権では5年ぶりの表彰台となる2位。再び世界選手権に立てるチャンスもあったが、「世界で戦える準備ができていない」と自ら辞退した。だから、復帰2シーズン目の今季は、準備万端整えて世界の舞台に出陣することを期待していた。 だが、髙橋人は違う考えだった。 「(シングルで世界の舞台で戦う気持ちは?)なかったですね。もともと現役復帰した時に、世界に行けるかどうかというのはわかっていなかったし、行けないだろうなとい

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  • 羽生結弦の最大のライバル。ネイサン・チェンの並外れた完成度|フィギュア|集英社 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva

  • 宇野昌磨にとって、過去2回より今年の全日本制覇が意義深い理由

    折山淑美●取材・文 Text by Oriyama Toshimi能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto) 「ケガはショートの前の6分間練習ではなく、当日の公式練習前のウォーミングアップの時でした。右足首を強く捻ったけど、練習の15分くらい前で最初はぜんぜん気にしなかったんですが、練習が終わったあとからすごく痛くなってきた。それでも何とかショートをできたことには(自分でも)驚きましたが、翌日に病院に行ってMRIを撮ってみたら強く捻挫をしているという診断でした。でも捻挫と聞いて、無理をして1週間くらい長引いても選手生命にかかわることはないということだったので、フリーに挑むことに決めました。 ショートが終わってから1日空かなければフリーには出ることができなかったし、最初は歩くことも難しかったけど、ついてくれているトレーナーさんや心配してくれる皆さんのお陰で、フリ

    宇野昌磨にとって、過去2回より今年の全日本制覇が意義深い理由
    electromancer
    electromancer 2018/12/26
    病院で診察を受けた上で後に響かないからと棄権せず、さらにSPで3Sを勧められても回避策は取りたくないと4Fにする…なんと冷静なんだろう
  • 「靴」に苦しむ日本勢。世界選手権3枠ゲットへ、宇野昌磨も波乱含み

    イタリア・ミラノで開催中の世界フィギュアスケート選手権は、平昌五輪で優勝した羽生結弦、同3位のハビエル・フェルナンデス(スペイン)が欠場したため、同2位の宇野昌磨が優勝候補と目されていた。 右足の状態が万全じゃない中、世界選手権SPで5位となった宇野 しかし、宇野は3月22日のショートプログラム(SP)で、1位のネイサン・チェン(アメリカ)と7.68点差の5位発進(94.26点)となった。他の日勢は、友野一希が11位で田中刑事が14位。来年に日の埼玉で行なわれる世界選手権で3つの出場枠を確保するためには、上位2人の合計順位が「13」以内にならないといけないため、日は厳しい状況に追い込まれたと言っていい。 エースである宇野の不調の原因は、平昌五輪後に新調したにある。なかなか足に合わないまま練習を重ねたことで右足甲に痛みが生じ、20日夜のメインリンクでの公式練習では、5分ほどでリンクか

    「靴」に苦しむ日本勢。世界選手権3枠ゲットへ、宇野昌磨も波乱含み
    electromancer
    electromancer 2018/03/25
    "メインリンクの公式練習を途中でやめた時は、さすがに『もしこのままの状態が続いたら、出ることによっていろんな人たちに恥をかかせてしまう』と思い、ちょっとだけ欠場も頭をよぎりましたね。"