坂中提案 人口崩壊時代の日本の国のあり方として、理念上は、移民に頼らないという選択肢も考えられる。「小さいながらも美しい日本への道」である。1990年代後半の入管時代、私はそのような「滅びの美学」にひかれるところがあった。 人口の自然減をそのままの形で受け入れ、少なくなった人口に見合った「ゆとりある日本」を目的とするものである。人口の自然減に従って、9000万人の人口になればそれに適した社会をつくり、4000万人の人口になればそれに適した社会をつくるというものだ。 人口は国家と経済と社会を構成する基本的な要素である。人口の減少が続けば、国勢は衰える。経済は縮小する。社会の多くが消滅する。そのことは承知のうえで、人口の自然減を日本が成熟段階に入ったことに伴う必然的な社会現象であると受け入れ、国民の生き方・生活様式から社会経済制度・産業構造に至るすべてを人口減少社会に適合するものに改めるという