2015年5月にエマニュエル・トッドが出版した本『シャルリとは誰か? ――宗教的危機の社会学』が、フランスで大変な騒ぎを引き起こしている(*1)。タイトルが示しているとおり、本書は2015年1月にパリで起きた、シャルリ・エブド襲撃事件を扱っている。 ( 表記上の注意点:「 」内の[ ] は筆者が補った ) まず簡単に事件を振り返ってみよう。1月7日、編集会議中だったパリ11区のシャルリ・エブド本社を、覆面をした男二人が襲撃し、風刺画家5人を含む12人を殺害、11人が負傷した。乗り捨てられた車から、襲撃犯のものと思われるクアシ兄弟の身分証が見つかる。 8日、パリ南部モンルージュで、女性警察官が射殺される。 9日、パリ北東シャルル=ド=ゴール空港近郊の印刷所にクアシ兄弟が人質を取って、立てこもる。この日の午後、モンルージュの警官銃撃犯と見られる男が、パリ東部のユダヤ系スーパーに人質と
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