岸田文雄首相の所信表明演説では、働く人への分配機能の強化についても強調した。企業による賃上げを促し、中間層を拡大することで成長につなげる狙いだ。ただ、賃金の引き上げは第2次安倍晋三政権の強力な経済政策「アベノミクス」でもほとんど実現できなかった、日本経済が抱える難題だ。賃金が上昇しない背景も多岐にわたるとされ、岸田氏が掲げる「令和版所得倍増」へ、取り組むべき課題は山積している。 「どの程度の賃上げを求めているのか…」。ある外食大手の担当者は困惑する。新型コロナウイルス感染症で外食産業は大きな打撃を受けており、賃上げへの余力は乏しい。一部で指摘される人手不足も「早期退職で職を失った人の採用ができており、今はそれほどでもない」と語る。 同社に限らず賃上げに後ろ向きな企業は多い。経済協力開発機構(OECD)の統計を見ても、この30年間で米国や英国などで平均賃金が4割以上増えているのに対し、日本は
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