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ブックマーク / nix-in-desertis.blog.jp (37)

  • nix in desertis:ゴヤとマネという様式分類上の困難を高校世界史でどう扱うか

    久しぶりの高校世界史深掘りシリーズ。 言うまでもなく,様式史とは同時代または後世の人間による整理である。ゆえに画家個人を必ずどれかの様式に入れないといけないわけではない。実際に,どうにも分類しがたい画家は存在する。しかし,専門家や好事家はともかく,一般教養や高校世界史のレベルだと,有名な画家をどこかしらのグループに入れることが要請される。この画家は一人一派なので型にはまらないのです,という説明を通すのは難しい(なぜ難しいのかわからないという人はすでに世間の知的水準や感覚から遊離している自覚を持つべし)。どこのグループにも入らない理由の説明をしようものなら,世の中には一般教養として求められるものが無数にあるのだから,込み入った事情を把握するくらいなら別のものを学んだほうが効率がいい,という反応をされてしまうのが常である。これは知っていてほしいと思う側にも望ましくない状況で末転倒である。だか

  • nix in desertis:上智大神学部の〔学部独自試験〕入試問題を解いてみた

    受験世界史の企画をお読みの方はご存じの通り,上智大は2020年を最後に一般入試の大部分で地歴公民科目の入試をやめて,共通テストと学部・学科別の独自試験で合否を決める制度となった。とはいえ上智大は学部・学科が非常に多いので気でこれを実施するのかと半信半疑でいたのだが,2021年の赤を見るに,当に実施したので驚いた。しかも1つ1つがけっこう作り込まれていて,なかなか面白かった。たとえば文学部ドイツ文学科であれば,高校世界史の範囲のドイツ史とドイツ文化について論じた現代文の問題が組み合わされたようなもので,これなら確かに意欲と適性をちゃんと測れると思われた。やればできるのになぜ去年までやってなかったのか。 となるとやはり気になるのは神学部である。神学部で学ぶ意欲と適性を測る独自試験ってどうなるのか。募集要項には「キリスト教と聖書の基礎に関する理解力と思考力を問う試験」としか説明が無かった。

  • nix in desertis:2021受験世界史悪問・難問・奇問集 その1(慶應大・早稲田大)

    今年も無事に公開に至ることができた。協力してくれる方々に感謝を申し上げたい。 <収録の基準と分類> 基準は例年とほぼ同じである。 出題ミス:どこをどうあがいても言い訳できない問題。解答不能,もしくは複数正解が認められるもの。 悪問:厳格に言えば出題ミスとみなしうる,国語的にしか解答が出せない問題。 → 歴史的知識及び一般常識から「明確に」判断を下せず,作題者の心情を読み取らせるものは,世界史の問題ではない上に現代文の試験としても悪問である。 奇問:出題の意図が見えない,ないし意図は見えるが空回りしている問題。主に,歴史的知識及び一般常識から解答が導き出せないもの。 難問:一応歴史の問題ではあるが,受験世界史の範囲を大きく逸脱し,一般の受験生には根拠ある解答がまったく不可能な問題。記事で言及する「受験世界史の範囲」は,「山川の『用語集』に頻度①でもいいからとりあえず記載があるもの」とした。

  • nix in desertis:「イギリス農業革命」の記事の落ち穂拾い

    はてブでめちゃくちゃ反応があって,「この記事そんなに伸びる要素あったっけかな」と思いつつ,ブコメを読んでいくつか記事の補足をしておく。 >骨肥料の誕生と刃物産業の関わりの伝承はナイフ好きには分かりやすいがほとんどの人にはわかりにくい。 骨肥料と刃物産業の関わりの逸話はこれに記載がある。このコメントは,記事に「農業革命とは,狭義には農業技術の革新である。細かく言えば農具の改良や土壌改良手法の確立等もあいまって全般的に改良されたようなのだが」と書いたのを補足していくれていて助かる。実際に骨粉を撒いての土壌改良は18世紀の農業技術の革新の一つで,19世紀に骨粉が供給していたのはリンと特定されて,帝国主義時代の欧米諸国はリン鉱石と「海鳥の糞」を求めて世界中を駆け回ることになる。 それはそれとして,牛骨の利用というと個人的にはやはりボーンチャイナを連想するところで,18世紀のイギリス人の牛骨活用が

  • nix in desertis:イギリス農業革命と産業革命を,高校世界史でどう説明するか

    高校世界史深掘りシリーズ。またしても経済史になるが,こういうネタは経済史の方が拾いやすいというのはある。18世紀後半から19世紀前半にかけて,イギリスでは産業革命が起きているが,その前段階として農業革命も起きている。 農業革命とは,狭義には農業技術の革新である。細かく言えば農具の改良や土壌改良手法の確立等もあいまって全般的に改良されたようなのだが,高校世界史上でも取り上げられる最大の革新は,三圃制農業が四輪作農法(ノーフォーク農法)に切り替わったことであった。すなわち,輪作の周期に窒素固定を行うマメ科の植物(の根粒菌)を入れることで地力の回復を早めつつ,家畜用作物も生産することができるようになった。これによって休耕地が消滅し,穀物が増産され,同時に畜産物の肥育も容易になった。近代的混合農業の始まりである。 こうした農法の切り替わりは農村のあり方に波及することになる。イギリスの農村ではそれま

  • nix in desertis:16世紀の「価格革命」を高校世界史教科書でどう説明するか

    高校世界史深堀りシリーズ。16世紀の西欧では,その世紀を通じて長期的・持続的な物価騰貴が生じ,最終的に約3〜4倍まで上昇した。これを価格革命と呼ぶ。100年間で3〜4倍では革命と呼ぶには随分と緩やかな物価騰貴であるように思われるが,この物価騰貴はその速度で歴史に残ったわけではなく,様々な影響をもたらしたがゆえに命名されたものである。その影響を高校世界史の内容に沿って列挙してみよう。 ① 当時の封建領主は永代的な固定地代を農民から徴収していたため,物価騰貴に追随できず,相対的に経済的に困窮することになった。 ② 当時の西欧の主要産業の一つに銀鉱山の経営があったが,価格革命は銀価格の下落をもたらしたため,多くの鉱山に一時的な経営破綻をもたらした。これにより没落した名家としてアウクスブルクのフッガー家が有名である。 ③ 持続的なインフレが投機ブームを生んだ。かつ,同時期の商業革命の影響により主な

  • nix in desertis:世界史用語集から消滅した用語ver.2019

    山川出版社の『世界史用語集』はほぼ毎年出版されているが,大規模な改編があった場合は改版,ミクロな改編しかなかった場合は増刷という使い分けをしている。ただし,正確に言えば改版は刷数をリセットして第1版に戻すということをやっているので,改版ではなく再出版になるのだが,まあそこは置いといて。改版になるのは学習指導要領が変わったタイミングになることが多いが,そうでなくともたまに改版している。ちなみに,第1刷のみタイトルが『世界史用語集』で,第2刷以降は『世界史用語集 改訂版』という書名になるという小ネタがある。書店では最新版以外が売っていることはまずないが,Amazon等で注文する際はタイトルと発行年をちゃんと見ないと無駄に古いものを買うことになるので注意が必要だ。たとえば現行の『世界史用語集』は2014年に刊行,『世界史用語集 改訂版』は2018年12月刊行である。 さて,その2018年12月に

  • nix in desertis:東大食堂の壁画廃棄問題についての雑感

    ・宇佐美圭司壁画処分問題(Togetter) ・展示されていた宇佐美圭司の絵画は・・・ (東京大学消費生活協同組合:ひとことカード集) → 不祥事であり議論の大筋には同意するが,その上で言うと,残念ながら宇佐美圭司は「誰でも名前ぐらい聞いたことあるでしょレベル」では全くない。関心が無い人が見たら抽象画であるがゆえに「奇抜な壁の模様」にしか見えず(つまり壁画とすら認識されない),ましてや知名度のある画家の作品とは思われないと思われる。なにせ,多少なりとも美術に関心があり,かつ4桁のオーダーでここに通った私でも,このニュースを見て「そういえば抽象画の壁画あったな」とやっと思い出すレベルである。ましてや他の大多数の学生・教職員をや。おそらく学内で知名度アンケートをとっても1%に満たないであろう。 → 「今の日の大学の知的レベルがわかる話だ。」とか適当なことを言っている人が東浩紀含めて複数いるが

  • nix in desertis:2018受験世界史悪問・難問・奇問集 その1(上智大・慶應大)

    昨年に2巻を発売して一区切りつき,業も計画的に仕事を進めた結果,それなりに余裕ができたので,年は全編公開とすることができた(追加で少し日史までできた)。協力してくれている校正者の皆さんにも感謝したい。 ・収録の基準と分類 基準は例年とほぼ同じである。 出題ミス:どこをどうあがいても言い訳できない問題。解答不能,もしくは複数正解が認められるもの。 悪問:厳格に言えば出題ミスとみなしうる,国語的にしか解答が出せない問題。 → 歴史的知識及び一般常識から「明確に」判断を下せず,作題者の心情を読み取らせるものは,世界史の問題ではない上に現代文の試験としても悪問である。 奇問:出題の意図が見えない,ないし意図は見えるが空回りしている問題。主に,歴史的知識及び一般常識から解答が導き出せないもの。 難問:一応歴史の問題ではあるが,受験世界史の範囲を大きく逸脱し,一般の受験生には根拠ある解答がまった

  • nix in desertis:高大連携歴史教育研究会の「歴史系用語精選案(1次案)」について

    この高大連携歴史教育研究会の,「歴史系用語精選案(1次案)」(pdf注意)について。アンケートの締切が2月末なので,三連休を活かしてそろそろ書いておきたい。このブログ記事の改定版をアンケート回答として投稿する予定。1週間ほど,ひとまずブログ読者の反応を待ちます。 ・用語を減らす動き自体について 私は高大連携歴史教育研究会の,教科書に載せるべき用語を減らす活動について,受験世界史研究家としての立場から,基的に賛同の方針を示してきた。それは拙著の終章で1巻・2巻ともに繰り返して主張したように,「単純な暗記科目化させた方が受験生も高校教員も大学教員も(表面的には)楽」ということから負のスパイラルが生じ,いつの間にやら高校生にとっては苦行でしかないような量の用語数に膨れ上がてしまったことによる。それも,細かすぎて専門外の大学教員が扱えばすぐさま悪問や出題ミスに直結する用語が増えた。また高校生側

  • nix in desertis:「歴史系用語精選案(1次案)」への具体的指摘事項

    こちらで書いたものの,具体的な指摘の詳細版。 ・消された理由を推察し,肯定的に評価しているもの 【古代】 ◯ミタンニ・カッシート・リディア・メディア → 古代オリエント史全体の流れから鑑みて,具体名は不要。こいつらのせいで多くの高校生がオリエントで早くも脱落するので,消すのは正解だろう。 ◯アメンホテプ4世 → ここから一神教が始まってエジプトにいたヘブライ人に広まり……は端的にって偽史なので。 ◯アイスキュロス・ソフォクレス・エウリピデス → これらに限らず,現行の世界史の文化史は収録基準がぐちゃぐちゃで非常に気持ち悪いので,再整理が必要。少なくとも古代ギリシア・ヘレニズムは明らかに多すぎる。 ◯ダキア・パンノニア → それぞれルーマニア・ハンガリー大平原で問題ない。その他も含めて基的に古代名不要(ビザンティウムのような例外以外は)。 ◯アリウス派・ネストリウス派・単性論派 → 異端の

  • nix in desertis:『シン・ゴジラ』感想

    もはや言い尽くされているので,2点だけに絞って素直な感想を書いておく。 まず,作は「巧妙に脱色された透明かつ健全なナショナリズムを非常に喚起される映画」だと思った。偽悪的な書き方をしたのでこう書くとめちゃくちゃけなしているように読めるが,実際のところは正反対で,これは私的に最大限の賛辞である。何より,ナショナリズムというものを巧妙に脱色することが難しい。スポーツにおけるナショナルチームの活躍・応援や大規模な自然災害に対する復興がこれに近いものがあるが,前者は興味が無い国民を阻害する点で必ずしも規模が大きくなく,実際に戦うのは数人から十数人のプレーヤーにすぎない。後者は明確な敵がいない。すると侵略してきた宇宙人か(これは『インディペンデンス・デイ』だ),怪獣あたりが妥当な線になる。もっとも,宇宙人の場合は一国じゃなくて世界で団結しろよ,という話になりかねない。 ゆえにゴジラを出すならこれは

  • nix in desertis:2016参院選雑感

    ざっくりと。 [全体として] 予想通りすぎて何ともコメントしがたい,というコメントを残しておきたい。 [東京都選挙区について] 個人的には満足した結果。表現規制反対の立場から言えば民進党の蓮舫・小川敏夫ご両名,共産党の山添拓氏が通ってくれれば一番良い展開で,その通りになったからである。蓮舫はほっといても受かりそうな気がして,山添拓氏と小川敏夫氏で相当に迷って,まあどっちに投票したかはあえて伏せておこう。民進党の表現規制に対する態度は,枝野がこう言ってるなら(Togetter中段小川敏夫の項),それを信用しようかなと。 [山田太郎氏について] 何か私が熱烈な支持者だと勘違いしている人もいるようだが,それへの反論を含めて私の投票行動の方針と,山田太郎氏周辺の言論について書いておく。確かに私のアイデンティティはどちらかというと右派だが,単純に立憲君主制支持,国旗・国歌は現状のものでよい,思考基盤

    emiladamas
    emiladamas 2016/07/13
    国民投票については安心できないかなと
  • nix in desertis:黄金のアフガニスタン

    東博の黄金のアフガニスタン展に行ってきた。企画展はある意味で展覧会の内容よりも開催の経緯の方が重要であるので,先にそちらに触れておきたい。 カブールのアフガニスタン国立博物館は1979年以後,長らく文化財破壊の危機にさらされ続け,特に1989年にソ連が撤退すると情勢が悪化した。タリバンが成長し,彼らが故意の文化財破壊を行っていたことと,内戦がカブール市街にまで及び始めたことがその原因である。実際に1990年代に,多くの博物館収蔵品が破壊されて灰燼に帰したか,略奪に遭ったとされる。しかし,博物館職員たちは極秘裏に最重要収蔵品を選び抜いて,それらを大統領官邸の地下金庫にしまいこんでいた。この行為は当時の政権はおろか,職員の家族にさえ秘密にされていたそうだ。そして米軍が進駐したことである程度安全が確保されたと判断されたため(皮肉にも“比較的安全”と判断されたのはソ連軍か米軍がいた時期なのである

  • nix in desertis:受験世界史悪問・難問・奇問集 ver.2016 その1(上智大・慶應大)

    今年の分もなんとか書き上がったので,お届けする。 ・収録の基準と分類 基準は例年とほぼ同じであるが,新課程になったので用語集の収録語・頻度が大きく変わった。その点は変更がある。 出題ミス:どこをどうあがいても言い訳できない問題。解答不能,もしくは複数正解が認められるもの。 悪問:厳格に言えば出題ミスとみなしうる,国語的にしか解答が出せない問題。 → 歴史的知識及び一般常識から「明確に」判断を下せず,作題者の心情を読み取らせるものは,世界史の問題ではない上に現代文の試験としても悪問である。 奇問:出題の意図が見えない,ないし意図は見えるが空回りしている問題。主に,歴史的知識及び一般常識から解答が導き出せないもの。 難問:一応歴史の問題ではあるが,受験世界史の範囲を大きく逸脱し,一般の受験生には根拠ある解答がまったく不可能な問題。記事で言及する「受験世界史の範囲」は,「山川の『用語集』に頻度

    emiladamas
    emiladamas 2016/03/13
    現代史や地理の範囲の難問、むしろ簡単じゃないかと思っちゃうけど歴史の試験としては良くないか
  • nix in desertis:地中海の黄金伝説展

    西美の地中海の黄金伝説展。ややコンセプトがわかりづらいが,古代地中海文明に見られる金細工の数々を並べた展覧会である。したがってスタートはエジプトでゴールはローマ……と思いきや,スタートはなんとトラキア(現ブルガリア)である。展の目玉その1,黒海沿岸に栄えた古代トラキア文明である。キートン先生が泣いて喜びそうな話だが,実はこのトラキア文明を代表する遺物「ヴァルチトラン遺宝」の発見は1925年頃のことであるから,『MASTERキートン』よりも随分前のことである。 じゃあ浦沢直樹が見落としたのかというと,そうではない。トラキアの遺跡はヴァルチトラン遺宝以外にも他にもいくつか見つかっていて,どうやら一定の文明があったことは確からしい。中には紀元前6000年頃と推定されているものもあり,これが事実ならメソポタミア文明に比肩して古い(どころか金細工に限れば完全に世界最古である)。しかし,発掘された物

  • nix in desertis:高校世界史上のフン人やマジャール人の扱いについて

    ・「ハンガリーHungary」と「フン族」の関係(Togetter) ・謎の用語「アジア系」「アフリカ系」(nix in desertis) この辺の話。気になったので,フン人・アヴァール人・マジャール人・ブルガール人について,現行の教科書(全7冊)がどう表記しているのか,調べてみた。教科書の年度は全て最新版のB課程。上から5冊がいわゆる“受験用”,下の2冊が非受験用の教科書である(山川の『新世界史』は分類が難しいが)。なお,参考書のうち『用語集』および『詳説世界史研究』も調べたが,全て『詳説世界史B』と全て同じ表記であったので省略する。 【フン人】 特徴:4〜5世紀頃にヨーロッパに襲来。民族(言語)系統についてはよくわかっておらず,トルコ(テュルク)系あるいはモンゴル系とされている。北匈奴が移動したもの説があるが,確定していない。というよりも匈奴自体がトルコ系説とモンゴル系説がある。一時

  • nix in desertis:入れ子構造ゆえの複雑さ

    ・米海軍が1発100円のレーザー砲発射実験を公開、強力な破壊力もプレステ感覚で操作可能(GIGAZINE) → 出力が伸びたらすごいことになるな。さすがに未来感ある。 ・【総選挙2014】沖縄から基地がなくならない当の理由:沖縄選挙区で投票する前に考えたいこと(樋口耕太郎)(ポリタス) → こうして見ると綺麗な植民地型の経済であることが突きつけられて,現代日人としては何も言えなくなる。結局低開発地域が低開発な理由ってどこまで言っても国際分業構造なのだよなぁと。 → しかもそれは入れ子構造であって,沖縄も世界的に見れば豊かな日の一部であり,「中心」に入るわけで。 → これに比べると北海道は幾分マシというか,農耕地帯ではあるし東京資の進出も激しいだろうが,それは他の地方都市でも言えることで,突出して植民地型の経済であるようには見えない。実際はどうなんでしょう。また違うとしたら,沖縄との

  • nix in desertis:受験世界史悪問・難問・奇問集 ver.2015 その1(上智大・慶應大の途中まで)

    ・序 昨年にはシリーズが出版されるという驚きの展開を迎えた。改めて読者の皆様にはお礼申し上げたい。今年の分も書き上がったので,お届けする。可能な範囲で今後も継続していく予定であるので,春の風物詩として,興味の続く限りお読みいただけると幸いである。 ・収録の基準と分類 基準は昨年と全く同じであるので,リンクを張っておく。 総評 数こそ12番までいったが,例年と比較すると,今年の上智大はおとなしかったと言える。海岸線のない地図だとか,キリスト教系の知識ミスだとかいった上智特有の悪問は姿を消し,日語が下手くそ系の悪問も少なかった。また,あの出題ミスをかたくなに認めてこなかった上智大が,今年は日史で出題ミスを認める発表を行った(pdfファイルにつき注意)。驚くべき変革である。拙著の効果であるとはほとんど考えられないものの,上智大の内部で何かが起きているような気はしている。では改善されたかとい

  • nix in desertis:『絶対に解けない受験世界史 (大学入試問題問題シリーズ)』が出ます

    以下,書の紹介をFAQ形式で。 よくわかる! 『絶対に解けない受験世界史 ―悪問・難問・奇問・出題ミス集』FAQ Q.どういうなの? 何が目的なの? A.サブタイトルの通り,大学入試における悪問や超難問,出題ミスを収録・解説したです。気で難しくて解けない問題から,日語の崩壊した問題,単なる誤植,笑える問題など,多岐にわたって収録しています。 1.入試問題作成の杜撰さを世の中に訴えること 2.出題ミスの事例を集めて,出題者へ提供すること 3.悪問を笑い飛ばして当時の受験生の無念を供養すること 4.世の中の世界史マニアに難問を提供すること を主な目的としています。 Q.どんな問題が収録されてるの? A.帯に入れた例を引用しますと, ・p.37:青磁か白磁問いながらも問題用紙はモノクロプリント(早稲田大 文学部 2014年) ・p.65:大学教授自らが書いた学術論文のテーマを入試問題に