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「実体的意識性」と「オルラ」 - 狂気をくぐり抜ける
精神科医宮本忠雄著『精神分裂病の世界』(紀伊国屋書店)は、一般向きの解説書としては、よく分裂病者... 精神科医宮本忠雄著『精神分裂病の世界』(紀伊国屋書店)は、一般向きの解説書としては、よく分裂病者の「知覚世界」や「内面世界」にまで踏み込んで、分かりやすく解説されている。その説明は、分裂病的体験の経験者からしても、かなり満足できるものがある。また、様々な点で、分裂病にまつわる「問題点」が整理されており、いろいろと考えさせられる。その中でも、特に、「実体的意識性」への注目は、重要である。 「実体的意識性」とは、ヤスパースの言葉で、分裂病者が、「自分の後ろなどに、ありありと、ある存在を、実感として感じる」ことを言っている。それは、「知覚」以前の「直感」的なもので、その者にとっては、まさに「実体」そのものとして、そこに「ある」ものと「意識」される。ただし、多くの場合、この「実体」は、何ものかとして明確に規定できるものではなく、まさに「未知」のものである。 著者は、「分裂病者」にとって、この「実体
2011/08/08 リンク