大野晋 「日本語以前」

「日本語以前」大野 晋 岩波新書（黄表紙） 大野晋には、「日本語以前」のほかに、「日本語の起源」「日本語をさかのぼる」「日本語の文法」という一連の本があります（すべて岩波新書）。いずれも、日本語の同系語の研究です。インド南部のドラビダ語、その中のタミル語について、語彙、文法、風俗に亙って調査し、日本語とタミル語の同系を証明しています。 日本人はどこから来たか？これは、学問的にも単なる好奇心においても、関心の高いテーマです。日本の風俗には南方系、北方系の両方の痕跡があるようです。南方系とは概ね、フィリピン諸島、マライ諸島、一方、北方系はシベリア、サハリン、カムチャッカ方面と考えてよいと思います。この他に、中国本土、朝鮮半島からの人の流入の証拠もあります。島国日本は四面海、様々な場所から様々な人々が、長い期間にわったって移り住んで来たと考えられています。その中で、今の日本語につながる言語と