先日バスに乗っていたときのこと。ある停留所で停まったバスが一向に動かないので何事かと思ったら、杖を持ったおじいちゃんがバス入り口の段差で難儀し固まってしまっていた。奥さんとおぼしきおばあちゃんは先にバスに乗り込んでいて「ほら、あんた迷惑かけてるんだから急ぎなさいよ、歩けるでしょ」と声をかけている。おばあちゃんも足が悪い様で、同じく杖を持っている。おじいちゃんは運転手さんの手を借りながらなんとかゆっくりバスに乗り込み、座席に腰掛けた。そうしてやっとバスが発進したものの、老夫婦の行き先はその次のバス停だったので、次のバス停で二人が降りるときにも同じ様におばあちゃんが先に降り、おじいちゃんはおばあちゃんにはっぱをかけられながらゆっくりとバスを降りていった。やっとおじいちゃんが段差を降りることができたときに、ひゅっと突風が吹いておばあちゃんのかぶっていたカツラが飛ばされた。右手でおじいちゃんを支え
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