白こんこんは こんこんのオレンジ色の毛を見るにつけ、 いろいろなことを思う。 たとえば 崖の下で咲いていた雛菊とか とれそうで 届かなかった あの夏みかん はじめてみた 夕焼け空 こんこんはジャンプしながら、たんぽぽの綿毛と遊ぶ。 たとえば・・・こんこんは綿毛を見て自分のことを思ってくれるようなことが あるだろうか・・・、 ・・・・・・・ないだろうか・・・ ・・・あれ、? 楽しかった? うん、たのしかったよう。 白こんこんは楽しかった? ・・・楽しかったよ。 ・・・
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白こんこんは こんこんのオレンジ色の毛を見るにつけ、 いろいろなことを思う。 たとえば 崖の下で咲いていた雛菊とか とれそうで 届かなかった あの夏みかん はじめてみた 夕焼け空 こんこんはジャンプしながら、たんぽぽの綿毛と遊ぶ。 たとえば・・・こんこんは綿毛を見て自分のことを思ってくれるようなことが あるだろうか・・・、 ・・・・・・・ないだろうか・・・ ・・・あれ、? 楽しかった? うん、たのしかったよう。 白こんこんは楽しかった? ・・・楽しかったよ。 ・・・
それはいつものようにぼんやりお茶を飲みながら姉妹の日を楽しんでいるとき、姉もちの一言からはじまったのだった。 「ねえ、いもちゃん。男の人って、好きな人を食べようとするよね。」 「・・・?」 「つきあっているうちに、いつも食べられそうになるの。それで・・・ダメになるの。」 わたし達姉妹はお互いを「いもちゃん」「おねいまん」と呼び合うほど仲が良いが、お互いの恋愛の話をしたことはない。恋愛は一人でするもの。誰に教えられたわけでもなくそう思っていた。 「今付き合っている彼もね。会うたびにもちさんの足はぽにぽにしているねーもちさんは食べたらおいしそうだね、って言うの。人目も気にせずおしりをなでなでされて、食べたらねーおいしいよねー、でも食べたらもちさんなくなっちゃうねーって嬉しそうにいうの。ねえ、いままで誰かを食べたことあるの?と聞いてもそんなことないよ、食べたいのはもちさんだけだよって言うの。そろ
「分からないことがあったら、この旗をお立てなさい」と沼から出てきた女神様からうけとった一本の旗を、たてた。 旗の下でこうして座って待っていれば、どこからか誰かがやって来て何かを教えてくれるに違いないと思った。秋の日差の中で待ちながら旗の影を眺め、雲が流れるのを見、風の音を聞いたりした。するとさっきまであれだけ分からなかったことが、すっと分かったような気がしてしまった。 わたしは旗を抜いてかばんにしまい、また歩き出すことにした。その旗は折りたたみ式なのだった。 ・・・
仮住まいのアパートの鍵を閉め忘れていたことに気づいた。気づいた瞬間誰かがドアから入ってきた。 それはガスの点検を装った押し入り強盗だった。銃を持っている。後ろにいた母は兵器マニアだったので普段から銃を装備しゴーグルをし、背に毒ガスタンクをしょっていた。 男は降参した。 (母は一見すると消毒液を撒く人にしかみえないのだが、その男も兵器に詳しかったため、彼女の持っている銃には勝てないと一目見て悟ったのだ。) ・・・
芸術家には年頃の娘が居ました。 ある日父と娘は結婚相手を探しに行きました。 最初に訪れたのは『絵画』のところでした。 「一瞬にして感覚と物事のすべてを伝えることができるあなたはこの世で一番優れています。どうぞこの子との結婚を考えていただけませんか。」 『絵画』はいいました。 「いいえ。わたしの力は『言葉』には到底かないません。」 ふたりは『言葉』の前に立ちました。 「絵画では到底表しきれない色と場面と抽象と現実を、文字の組み合わせで表象できるあなたはこの世で一番すぐれています。どうぞ子との結婚を考えていただけませんか。」 『言葉』はいいました。 「いいえ。わたしの力は『音楽』には到底かないません。」 ふたりは『音楽』の前にやってきました。 音楽はふたりが話し始めるより早くいいました。 「・・・いいえ、わたしの力は『映画』にはかないません。」 ふたりは町外れの映画館の前にやってきました。 そ
彼女の声はとても小さく、こおろぎやすず虫とお話しするのにちょうど良いくらいの大きさでした。 その声はいつも、石のように無口な僕の心に響き渡りました。 ある夜、彼女との帰り道。 日が日に日に短くなったある晩秋のこと。僕たちは黙って歩道を歩いていました。外灯のない田舎道を月明かりが照らしています。 彼女は何か伝えようとする前のいつもの微笑みを浮かべて 「き。」 と言いました。 僕は思いました。 僕の後ろの空を上る月を見て「月」と言ったのか、 僕の右目を見て「好き」といったのか、 それとも (ねえ、きから始まるしりとりをしましょうよ・・・) だったのか。 考えれば考えるほど、心の中は「き」であふれかえり 響き渡りました。 ・・・
「おねいまんは・・・・小学校の何年生まで夏休みの宿題さぼっていたの?」 と、先日のもちブログを読んだ妹からメールがきたので、 「六年間ほとんどぜんぶだよ」 と返信した。 いも「わたしが夏休みの最後の日に読書感想文を泣きながら書いていたときに、「ねいまんはわたしは終わったー」ってお母さんに言ってた。あれは嘘だったんだね。」 妹は昔のどうでもいいような些細なことを本当によく覚えている*1 もち「そうだよ。高学年にゆくにつれて賢くなったよ。人目を引く自由研究や工作などを早々とロッカーの上に並べ、周りの目をひき、他の宿題だって出しているわよ、という顔していたよ。」 いも「わるだね。先生だって生徒の提出物をなくしたかと、どきっとしていたんじゃない?」 もち「うん、そういえばI先生は、一週間くらいして「も、もちさん・・・、出したっけ?」って恐る恐る聞いてきた。」 いも「先生一週間くらい悩んだんだよ。奥
わたしの住むM町と隣のS町は常にライバル的存在だった。 たとえば、M町の児童公園はブランコ・滑り台・ジャングルジム・砂場・石碑、そしてほんとうのバス*1など遊具があり大きな二本のイチョウとはるにれの木があった。 一方、S町は猫の額という言葉がぴったりの公園だった。隣の寺がお昼過ぎにはと黒い影を落とす中、誰も遊ばないブランコがみっつ風に、いつも揺れているのだった。 しかしそんなS町が一年に一度だけM町より輝く瞬間があって、それは夏祭りのよるだった。S町は町内会費をやりくりして、芸能人を呼んだ。そのときばかりはM町住人たちもS町公園にいそいそと出かけずっとまえからS町住民みたいな顔をして芸能人を見るのだ。*2 その年は「てんのあかね」さんという演歌歌手が来た。 ・・・ *1:廃車の *2:もちろんわたしも・わたしの父も。
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