奈良教育大学准教授 中澤 静男4月から、小学校で新学習指導要領が全面実施される。学習指導要領として初めて前文が付され、「持続可能な社会の創り手」の育成が明記されたことより、これまではユネスコスクールなどで取り組まれてきたESDの理念を生かした学習が、全国の小学校で展開されると想定される。この動きは、世界中で推進されているSDGs(持続可能な開発目標)の達成に寄与するものと評価できる。新学習指導要領では、各教科の目標を「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の3つに整理している。このうち「学びに向かう力、人間性等」は学習者の価値観と行動の変容を促すESDと関連している。2005年にユネスコで策定したESD国際実施計画案には、ESDで育てたい価値観の基礎として「世代間の公正」「世代内の公正」「生態系・自然環境の保全」「人権・文化の尊重」が示されている。これら価値観