『エレベーター・ミュージック・イン・ジャパン 日本のBGMの歴史』(田中雄二/DU BOOKS) 酔っぱらってからの帰宅途中に立ち寄った近所のコンビニで、夜食を選んでいたときのことだ。 深夜番をしている中国人とおぼしき店員さん、ちょくちょく見かける顔なじみのお客さん、そしてキラキラと明るい店内。眼の前には、いつもと変わらぬコンビニの風景が広がっているはずなのに…「でも、何かが違う」。なんとも言えない“違和感”の正体を酔った頭で考えていると、突然、一瞬にして“違和感”が消え去り、いつものコンビニ空間が蘇った。 理由は不明だが、私が入店してからしばらくの間、店内のBGM放送が休止されていたのである。 コンビニ、ファミレス、喫茶店、スーパー、デパート、空港、ホテルのロビーなど。よくよく考えてみれば、我々の暮らしの大部分は「BGM」と共にある。あまりに当たり前すぎるので、“よくよく考えて”みないと