最近、書店員が書いた本が多いなと思っていたところに届いたのが本書『まちの本屋』(ポプラ文庫)である。現場は岩手県の盛岡市にある「さわや書店フェザン店」。東北の駅ビルの書店で、どんなことが行われていたのか? 「文庫X」もこの店から たとえば「文庫X」というキャンペーンがあったのを覚えているだろうか。「どうしてもこの本を読んで欲しい」という書店員の思いが書かれたカバーがかかり、さらにビニールで梱包され、内容もタイトルも分からない。税込810円という価格と小説ではない、ということしか明かされなかったにもかかわらず、「文庫X」は同店で2000冊売れた。 これに共鳴した全国の600店以上で、この展開が始まり、最終的に18万部に達した。数カ月後に覆面を明かすと、清水潔著『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』(新潮文庫)だった。地方の書店発の企画が全国の読者に通じたのだった。 著者
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