映画『わたしたちの宣戦布告』より 女優ヴァレリー・ドンゼッリが、恋人ジェレミー・エルカイムとの間に起こった実話を自ら監督した今作は、息子を襲った回復する可能性がわずか10パーセントという病気、そして世間からの「病人なら病人らしく」という好奇の眼差しに真っ向から闘いを挑む。この恋人の名前がロミオとジュリエットであることにも象徴されているように、「わたしたちふたり」対「世界」というラブストーリーの構造は古くから映画や小説で使い古されている。しかし、今作は「難病もの」という陰鬱でお涙頂戴なイメージを軽々と飛び越える自由さに満ちている。 映画『わたしたちの宣戦布告』より ふたりはインタビューで、少数精鋭の撮影体制と一眼レフカメラでの撮影による機動力が演出に大きな影響を与えたと語る。しかし同時に、今作がふたりにまつわる事件の単なるドキュメントではなく、しっかりとした脚本と女優としての矜持によりストー