日本の製薬会社が一つの薬を開発して厚生労働省の承認を受け、市場に出すまでの平均期間は約9年で、費用は484億円かかるとの推計を、日本製薬工業協会 の医薬産業政策研究所が業界へのアンケートに基づいてまとめた。約10年前の同研究所の調査と比べると、期間は2年ほど短くなったが、費用は1・4倍と大幅に増えていた。 同研究所の八木崇主任研究員によると、開発費増加の背景にあるのが、臨床試験(治験)の大規模化の傾向。深刻な副作用がなく治療効果が期待できるというだけでなく、既存薬や他社の薬との違いを明確に示すことが製薬会社に求められ、治験に参加する患者らの人数が10年で2倍になった。これがコストを押し上げた最大の要因という。 日本は欧米に比べ、患者に薬が届くまでに時間がかかり「ドラッグ・ラグ(時間差)」として問題になっている。この一因となる開発期間の長さは少し改善したといえそうだ。 だが膨大な開発費