フェル コラムニスト 堅気のリーマン稼業の傍ら、細々と物書きの真似事をしております。最近は講演やらテレビ・ラジオへの出演も増えてきました。いったい本業は何なのか自分でもよく分からなくなっています。 この著者の記事を見る
遙から 「通じない」。タレントを職業とする私の口をもってしても、相手に通じない。その相手がたまたま男性であることが多いことから、「男には通じない」と相対化してしまっていいものか、あるいは、私が女であることから「女と男は通じ合えない」と普遍化してしまっていいものか、結論づけるのは早計として、いずれにせよ、女である私がたまたま男性である仕事相手に何かを要求した時、「通じない」ことは多いとしばしば感じる昨今だ。 以前、このコラムでも紹介したが、女性司会者が私を会場に呼び入れる時に、わざわざその女性司会者が準備し、歩数まで逆算して決めた登場音が、本番で流れなかったことがあった。その理由はホテルの音響ブースに“人がいなかった”という、想定外のミス。女性司会者が「だからこのホテルは二流なのよっ」と担当男性にブチ切れたエピソードを書いた。 無音で登場した私の心のどこかにそれがトラウマのようなかすり傷にな
いったいどこまで、「……」なのだろう。 「《女性閣僚》改造の目玉 男性待機組50人「逆差別」の声も」――。 これは、先週水曜日の夜、毎日新聞電子版で報じられた見出しだ。 翌朝24日付の朝刊では、“改造の目玉”の真意が加筆され、 「内閣改造:女性閣僚、改造の目玉 集団的自衛権で内閣支持率下落 男性待機組50人、自民内に不満も」 となった。 なるほど。「女性が輝ける社会」だのなんだのいうけれど、結局は、女性を“ショーケースの展示品”としか考えていないってわけだ。見出しを見るだけでも、十分すぎるくらい内容が伝わってくるのだが、それではあまりに失礼なので、紹介する(内容はどちらも同じ。以下、抜粋) 安倍晋三首相が9月上旬にも検討している内閣改造で「女性枠」に注目が集まっている。首相は成長戦略の柱に女性活用を掲げており、集団的自衛権問題で下落した内閣支持率の回復に向け、女性閣僚を「改造の目玉に」との
遙から 興味深い番組を見た。NHKの討論番組だ。現代は驚異的な人手不足の時代だが、人々の実感は「職がない」。この謎かけクイズ、答えられるか。 答えは意外と簡単だった。人手不足の分野は介護、育児、建築など。職がないのは事務。分野が違った。「発展できる分野で発展したらいいじゃないか」の意見には「いや、もう社会の底が抜けているんだ」。 底とは、命と生活に直結する大切な分野で低賃金の領域のこと。ここを支えてくれていた人たちが“少子化”で手薄になり、海外から労働力を調達せねばならなくなった。そうなると世界レベルで高齢化問題を抱える国たちの間で介護職外国人の争奪戦がもう始まっている。さあどうするニッポン。 女性登用の御旗は冷え冷え 女性登用を成長戦略に掲げる政治。女性たちは管理職になる前にまず「子を預けるところがない」から登用の御旗を冷めた目で見ている。じゃあ外国人に介護と育児を頼もう、しかし、移民で
延長戦にもつれ込んだ熱戦を1―0で制したドイツの優勝で幕を閉じたサッカー・ワールドカップのブラジル大会。ドイツやオランダなどの強豪が華麗なプレーでファンを魅了した一方、日本は1勝も挙げることなく、グループリーグで姿を消した。 大きな期待を集めていたチームのどこに問題があったのか。日本経済新聞論説委員などを歴任したベテランジャーナリストが、サッカー関係者への取材を基に、惨敗の“真因”を探った。 サッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会が終わった。 日本時間14日の早朝に行われた決勝戦は、ドイツ―アルゼンチンの壮絶な闘いとなり、延長戦の末、ドイツが1―0で勝利し、5週間の全日程を終えた。優勝したドイツは今後4年間、覇者として世界中で数十億人に達すると言われるサッカープレーヤーの頂点に君臨する。この世界最大の競技会特有の栄誉に加え、今年の大会は、サッカーという競技の中身にとっても歴史に残る転
遙から テレビは面白い、のではない。人間が面白いのだと思わせてくれるのが先日の兵庫県の号泣県議の記者会見シーンだった。昨年、城崎温泉へ出張105回。ふーん。どう答弁し危機を回避するか、のほうを興味深く眺めた。登場するなり記者たちの名刺を要求した。わかりやすい戦略だ。わかりやすすぎると言っていい。自分が「嫌だ」と思った質問相手には名前を問うことで、質問自体に心理的圧力がかかる。あるいは後に個人名に対して糾弾できる。つまり、最初から詰問される側がけん制として“脅し”を記者にかけた記者会見だった。だからまず名刺が必要だったのだ。巧妙な、と表現したいところだが、見え見えだっただけに、わかりやすすぎる防衛手段だった。だが、記者たちが質問したり追及するまでもなく、単に、県議を映して流す映像だけで、追及よりもその県議の本質を市民に届けることになるという、防衛どころか、自滅型の記者会見になった。 なぜ自滅
権力は、権力をもたらす――。 常々そう思っていたけれど、その瞬間をまざまざと見せられた感じがした。 「僕にまかせなよ。僕が決めるから。キミたちもそのほうが幸せになれるよ。だって、キミたちのことを、いちばん考えているのは僕なんだよ。キミたちが危険な目にさらされないように、僕がちゃんと考えて、判断して決めるから。何も心配しなくて大丈夫だよ」 「だって、キミたちを守っている“武器”(=憲法)は、かなり旧式のやつで、使いものにならない。そのことがわからないのかな? いかなる事態にあっても、国民の命と平和な暮らしは守り抜いていくからさ」 そんな風になだめられている気がした。 そう。先日、集団的自衛権容認の閣議決定を受けて、安倍首相が行った記者会見である。 「何? 今日は上司部下関係じゃなく、政治を語る?」 いやいや、そういうわけではありません。 もちろん今回の決定にも、集団的自衛権にも、憲法9条につ
「両親が離婚しているので、結婚できない」「子どもの時に母親から虐待を受けたから、子どもを産む自信がない」。子どもの頃のこのような体験が“トラウマ(心的外傷)”になって、結婚や出産をためらっている。このような相談をよく受けます。 トラウマやPTSD(心的外傷後ストレス障害)という言葉が日本でよく使われるようになったのは、1995年の阪神大震災以降のことです。大きな自然災害、事故、事件などに遭遇することで心が傷つけられた人は、強い抑うつ、不安、不眠、悪夢、恐怖、無力感、戦慄などの症状が起こるというのです。 たしかに強いショックを受けたことは事実ですが、その後の人生で行き詰まった時、そのことすべてをトラウマによると考えることに問題はないでしょうか。結婚や出産をためらうのは、本当に、トラウマのせいなのでしょうか。そもそもそのトラウマは本当でしょうか? 実は、何かに行き詰まった時に、過去に経験したこ
W杯がはじまって2週間が経過した。 体調は、予想されていたことではあるのだが、かなりよろしくない。 深夜から早朝にかけての観戦と、昼の間のランダムな昼寝の繰り返しで、睡眠のリズムが乱れている。 感情の起伏も、おそらく、体調に悪い影響を及ぼしている。 無感動になりがちな初老期の男は、むしろ積極的に感情を起伏させる機会を持つべきだというご意見もある。 大筋としてはおっしゃる通りだ。 でも、乱高下は良くない。 サッカーは、そういう意味で、私にとって、あまりよろしくない娯楽なのだろう。 つつしまねばならない。 英国には、「サッカーは少年を紳士にするスポーツだ」ということわざがあるのだそうだが、私は出典を疑っている。つまり、私は、この成句について、どこかのサッカー関係者が捏造したデタラメかもしれないと思っているということだ。サッカー関係者には、非サッカー関係者同様、うそつきが多い。【※編注】 英国に
遙から 先般、塩村文夏都議に飛ばされた野次の問題。すでにもうこれがとてもいけないことだという論評が主流で、飛ばした鈴木章浩都議も謝罪し、生卵も投げつけられ、あとは党がどう着地させていくのかという流れに収れんされていく中、この出来事から私が発見できることを書いておきたい。ひとことでいうと、公で女性が野次られた時の処方箋だ。 女性を傷つけた。鈴木氏は悪い。日本はまだ男尊女卑だ。と、いくら叫んでもどれも目新しい主張ではない。どの時代にも女性を傷つける発言をする男性はおり、その都度物議をかもし、なんらかの建前上の責任を取ったり落選したりで一応の結末を迎える。そしてまた繰り返される。だから今回もまた、やがて収束しおそらく将来誰かが繰り返す。 今日のニュース番組ではもうメインテーマは集団的自衛権。“国”の問題の前では“女性”を傷つけた問題はそう日を置かずに雲散霧消する。 なぜ時代を超えて繰り返すのか、
現代の企業においては、IT(情報技術)、そしてウェブをどう使っていくかが企業の成長のカギを握っている――。このことに異論がある方はいないだろう。 少し前までは、既存の業務を一部IT化し「わが社はITを活用している」などと生ぬるいことを言っていられる時代だったが、今ではIT、ウェブをベースにビジネスモデルを組み立てていないと勝ち目の無い世界になりつつある。 グーグル、フェイスブック、マイクロソフトなどは言うまでもなく、今やITと全く無縁そうな回転寿司屋でさえ、ビッグデータを活用し廃棄量75%削減を達成している時代である(「スシロー、ビッグデータ分析し寿司流す 廃棄量75%減」:日経新聞電子版1月27日)。 しかし、これだけビジネスの中心にIT、ウェブが入り込んできている現在でさえ、IT、ウェブの中心を担うITエンジニアの仕事について「製造業と同じようなもの」と勘違いしている人が非常に多い。
榊彰一(さかき・しょういち)、43歳。中古パソコンを企業などから買い取って再生して販売するブロードリンク(本社・東京)を経営する創業社長である。脱サラして会社を作り、14年あまりで、データ漏えいの不安から信用が厳しく問われるパソコンのリサイクル業で大手にのし上がった。 200人あまりの従業員を抱え、2013年12月期決算では、約70万台の中古機を扱って、売上高は前期比約15%増の約29億5000万円を計上した。今年はパソコンの基本ソフトWindowsXPに修正ソフトを配る技術サポートを、発売元のマイクロソフトが4月で打ち切ったため、パソコンの更新が進んでいる。このため中古パソコンが大量に発生しており、ブロードリンクが今年扱う台数は「たぶん100万台になるかな」と榊は見込む。 「今12月期の売上高は、ブロードリンク単体で42億~43億円くらいになり、関連会社も含めれば50億円程度に増える。前
高校生の頃、通学電車の中で疲れ切った“おとうさん”たちを見る度に、「結婚って……、誰でもできるんだなぁ」と、失礼極まりないことを思っていた(す、スミマセン)。 恋愛、ウェディングドレス、花嫁、結婚……。そんな桃色(?)の未来を夢見る女子高生だった私は、電車の座席に座ったときに目立つ“ずり下がった靴下”に、「あちゃぁ~~~」と深いため息をつき、 「こんなオジサンでも、結婚してるんだよね……(泣)」 と、がっかりしていたのだ。 そして、今。結婚は、“誰でも”できる、ものじゃなくなり、 「男性の5人に1人が、生涯一度も結婚しない」 ことが明らかになった。私が高校生だったときには、3%にも満たなかった生涯未婚率が、20%を超えたのだ。 「過去の男性観」に苦悩する男たち しかも、「男性の幸福感」は女性より低く、特に、妻が主婦の場合、夫の「幸福度」が極めて低かったのである。 ダンナが300円の牛丼ラン
6月7日、驟雨に見舞われた東京を離れて9時間半。飛行機と電車、フェリーを乗り継いではるばるやってきたのは、島根県海士(あま)町。隠岐諸島の真ん中に位置する離島だ。 海士町はシロイカとカキ、干しなまこが名産の漁業の町。1周約90キロメートルと比較的大きな島だが、人口は約2400人。一見すると過疎化が進むただの離島のように映る。 だがこの町がユニークなのは、人口の2割近くに相当する約300人が、都会から移住した「Iターン」の若者である点だ。しかもトヨタ自動車やソニーなどの一流企業を辞めた、いわゆるエリートが多い。海士町の何が優秀な若者たちを惹きつけるのか、その謎を探るため、私は来島した。 その初日。Iターンの若者を中心に取材を進める中、町中である若者とすれ違った。切れ長の目、真ん中で分けたサラサラの髪。その時は、どこかで見たことがある人だな、としか思わなかったが、その後にひょんなことからシナプ
中学時代の成績は常にトップ。県内有数の進学高を経て、一流大学に進学。卒業後は、一流企業に就職し、30歳過ぎに結婚。その後、出産を機に退職し、主婦業に専念……。 そんな誰もが羨むような人生を歩んできた、“高学歴妻”たちに、なんと「自我が芽生えた!」。 な、何?子どもじゃあるまいし、自我が芽生えるって、どういうこと? 初っ端から、女性たちに反発されそうな表現で申し訳ない。だが、彼女たちの“夫”がそう語るのだから、どうかお許しくださいませ。 「やっとわかったんですけど、妻は、僕のキャリアに嫉妬しているみたいなんです」 これまた、な、何なの???と、理解に苦しむ話を切り出したのは、50代の男性である。 彼曰く 「妻は、はっきりいって、僕より優秀(笑)。大学も僕より格上だし、あのまま会社にいたら、僕よりも出世していたかもしれない」。 “高学歴妻”のご乱心 どういうわけか、最近、やたらと夫たちから、
家を買うべきか、借り続けるべきかは若手社員にとって永遠の命題だ。仕事のことならともかく、こと持ち家問題に関しては、先輩に相談しても明快な答えは得られない。既に自宅を購入した“持ち家派”は「家賃を払い続けても賃貸住宅は未来永劫、他人の物。同じくらいの金額ならローンを払って自分の資産にした方がよい」と主張する。一方、“賃貸派”は「先が見えない中でローンを組むなんてとんでもない」と持ち家戦略のリスクを煽る。両者の主張は平行線を辿るばかりで、永遠に決着が付きそうにない。 だが、そんな中、「サラリーマンは自宅を買ってはいけない」と明確に主張するコンサルタント・不動産投資家がいる。その根拠と、賃貸派のアキレス腱である老後の暮らしについて対策を聞いた。 (聞き手は鈴木 信行) 著書「サラリーマンは自宅を買うな」で、会社員がローンを組んで自宅を所有するリスクを主張されています。今ここに、まさに自宅を買わん
4月にカーシェアリングサービスに入会した。周りの友人が使っているということを聞いてはいたものの、いまいち利便性の実感が湧かず入会に至っていなかったカーシェアリング。通常のレンタカーサービスでも、多くて月に1回程度しか使わない私にとっては、縁遠いものと思っていた。 入会しようと思ったのは、自宅近所ににわかに「タイムズカープラス」のノボリを見る機会が増えてきたからだ。タイムズカープラスは、タイムズ24が運営するカーシェアリングサービス。こんなところにもタイムズ24の駐車場があったのかと思うほど、自宅近辺に多くの駐車場があり、それら駐車場のほとんどでタイムズカープラスを提供しているようだった。 それまでレンタカーを借りる際は、レンタカー店舗までバスかタクシーで移動し、往復数百円~1500円程度かかっていた。タイムズカープラスの場合、自宅徒歩圏内に数カ所借りられる場所がある。「自宅から徒歩圏内」「
日経ビジネスは5月19日号の特集「さらば使い捨て経営~『正社員化』だけでは解決しない」で、人手不足の深刻化を背景に、問題が噴出する非正規雇用を取り上げた。「ブラック批判」を浴びる一部の企業にとどまらず、業種を超えた様々な企業で人材確保が困難になりつつある。本コラムでは、特集誌面には収めきれなかった企業の動きや経営者・識者のインタビューなどを紹介する。 第一回は、営業時間の短縮や休業する店舗が相次いだ牛丼大手「すき家」を取り上げる。アルバイトなど関係者の証言から勤務の実態に迫った。 「パワーアップ工事中」。4月下旬の土曜日の午後6時、東京都品川区にある総合スーパーのフードコートで、1店舗だけ閉店している飲食店があった。牛丼大手「すき家」の店舗だ。夕食時で混雑しており、同じフードコートに入居する「マクドナルド」「リンガーハット」「はなまるうどん」「築地銀だこ」には、軒並み行列ができていた。そん
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