本書において、国境なき医師団が、アフリカからロシアまで、戦場や震災地、スラムに赴き、エイズ、結核、マラリアなど様々な病気と闘う様子が描かれている。医師団の、その熱意に満ちた行動は、どのような信念に支えられているのか。 そして、彼らは、行動にあたって、人道支援の境界や任務遂行に伴うリスクにどう対処しているのか等々、理念と活動、組織の有り様を詳述する。 また、誕生から現在までの歴史・展開も解説する。組織としてのノーベル章受賞(1999年)の際のスタッフ間の活発な議論も読みどころである。米国を代表する医療社会学者による決定版と言えるだろう。 国境なき医師団として、いつどこで介入すべきか、そのタイミングの重要性。人員、物資、資源の配分の仕方はどうしているのか。長期プロジェクトと短期緊急の判断はどう区別しているのか。個人への対応と共同体への支援のバランスをどう考えるのか、など。著者自身が活動に参与し
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