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ブックマーク / karakusaginga.blog76.fc2.com (131)

  • 唐草銀河:花 1

    Back Index Next 女の人生は花のようなものでございます 誰かがそんなことをいっていた。たしかにそうかもしれない。いや、かつてはそう思っていた。 だが、花はものをいわない。手足もない。さらにはきっと、何かを考える頭はないだろう……とすれば、女は花のようではあっても「花」ではない。 それにしても、来なら帰国を祝う夜会だなんだと誘われるはずが、一枚も招待状が届かない。この国の貴族社会から完全に無視されている状態だ。 かつての知り合いが向こうから訪ねてきてくれるだけでも有り難いと感じるほど、ひとに疎ましがられる身分になりさがったというのも腹立たしいが、正直なところ隣の部屋に待たせている男と顔をあわせるのは気ぶっせいでしようがない。 おまけにそうして吐息をついて見あげた梁は、色褪せた花綱模様もそのままで、ことさらみじめったらしい気分になる。 情けなや。 表通りから聞こえる鋳掛屋の声さ

    florentine
    florentine 2012/09/05
    #syosetu #novel #fc2 #小説 #ファンタジー #アルファポリス 気に入ったら投票していただけると嬉しいです☆ 大賞とると出版してもらえるそうなのでv
  • 唐草銀河:『歓びの野は死の色す』登場人物と世界観など

    Back Index Next 登場人物 ※物語編に登場しない人物もいます。 エリス姫 エリゼ公国の姫君にして、男装の女公爵。葬祭長。《死の女神の娘》と呼ばれ、黒髪に黒い瞳をもつ。 ルネ・ド・ヴジョー伯爵 エリスの元教師でオルフェの友人。太陽神殿の神官。エリゼ公爵家より古い家柄の騎士。 アレクサンドラ姫 女戦士の姫君。エリスの護衛として帝都から付き添う。 オルフェ殿下 エリゼ公国次期領主。エリスの兄にして美貌のひと。生まれつき心臓が悪い。皇帝陛下の姪と婚約中。 アラン・ゾイゼ騎士団長 《死の女神》の神殿騎士団の団長。宰相の娘マリーの夫。元傭兵。 ゾイゼ宰相 エリゼ公国の宰相にして《死の女神》の大神官。 皇帝陛下 大陸一広い領土をもつ帝国の皇帝。太陽神の生まれ変わりといわれる。 月の君 元皇子にして大陸一の銀行家カレルジ家の養子。皇帝の腹違いの弟。 サルヴァトーレ 死神トトと呼ばれる天才。

    florentine
    florentine 2012/09/05
    #syosetu #novel #fc2 #小説 #ファンタジー
  • 唐草銀河:『歓びの野は死の色す』あらすじ

    Back Index Next 【R-18・西洋風歴史SFファンタジー・連載中】 ――そなたの真実の母である《死の女神エリーゼ》のようになるがよい―― 皇帝陛下はそういって、エリス姫を彼女の生まれたエリゼ公国へ送り返す。 帝都留学から10年ぶりに帰国した彼女は、かつての教師で初恋の人である伯爵と再会するが……。 ※検索サイトから直接お越しくださった方へ 初めての方は「はじめに」を必ずご一読くださるようお願いいたします。 性描写・流血・犯罪シーン等があるので閲覧にはご注意ください。 異性愛、同性愛、両性愛があります。 ランキングに参加しています。この作品が気に入ったら、投票してください。

    florentine
    florentine 2012/09/05
    #syosetu #novel #fc2 #小説 #ファンタジー
  • 唐草銀河:あなたに本当に伝えたいこと

    florentine
    florentine 2012/05/05
    文フリC-37「唐草銀河」で参加します 満月の夜の話です 無料誌「付き合うっていったい何をすること」&新刊4号「LOVE ART COMPLEX」です 美術部員の恋愛モノです☆ #bunfree #文フリ
  • 唐草銀河:階梯と車輪 7

    Back Index Next 「ねえ、うち、来ない? 来れるんだったら来てほしいの」 翌日の朝、委員長から電話があった。開口一番それで、おはようも何もなかった。少々面らったものの、初めての依頼の際、こういう切羽詰った話し方をするひとは存外多い。 「今夜ですか?」 「なんで敬語なの」 「依頼かと思って……」 「うん、依頼です。でも同級生なんだから敬語つかわないでよ。気まずいじゃない」 気まずいのはこちらだと、彼女は気づかないふりをした。昨日やかつての失態をないものとして扱ってくれるものなのか、それとも今夜あれこれ問い質されるのか。それはともかく、 「急なはなしだね」 「都合悪い?」 「そうじゃないよ。委員長のほうで何かあったのかと」 電話の向こうでひとしきりの沈黙が落ち、僕は電話をもつ手に力が入っているとわかる。ところが、 「そういう勘のいいとこ変わらないけど、前よりずっと素直でいいね」

    florentine
    florentine 2011/09/09
    ついったーに連動してるはずが、どうしたのかな? いっけん男女恋愛ものに見えるね、てシーン。
  • 唐草銀河: 極月――私とあたしとわたしの物語 夢は個人の神話 <101>

    Back Index Next 夢オチというやつは最悪なパターンなのだけど、この場合は相当してしまう。  目をさますと、私は床に這いつくばって寝ていた。頬にはしっかりとシーツならぬストールの後が残り、みっともなくも涎と口紅がついていた。シルク混のカシミアなのに。クリーニングに出さなきゃだよ。  私が四階の「時任洞」に入ったところまでは事実で、なんなら下の階の画廊のオーナーにきいてくれてもいい。  そこから先は、誰にもわからない。たしかめようがないんだから(ただし、私が床においた封筒から二万円は消えていて、あとで浅倉くんに調べてもらったら、十二月に買った南部鉄瓶の代金としてちゃんと入金されていたそうだ)。  気をとりなおし、私は大きく息をすいこんでその部屋を出た。変な姿勢で寝たものだから、背中が痛かった。でも、気分は悪くない。  夜明けの、日が昇ったばかりの中央区を自転車でかっとばして築地

    florentine
    florentine 2011/02/28
    わざわざPCでというお気持ちがとっても嬉しいです。本当にどうもありがとうございます。あはは、ヒロインの何処かに行きたい願望ちょー熱いですよね。次はガンダムねた満載(?)ですのよw お楽しみに☆
  • 唐草銀河:Ⅳ 『Q.V.Q.』 (6)

    florentine
    florentine 2011/02/04
    小説更新してます。「おすすめタグ」に「やおい」と出てきて笑いました。ヤオイじゃありませんw いちお、にゅーうえーぶ、と思ってるんですが。いかがでしょ?
  • 唐草銀河:Ⅳ 『Q.V.Q.』 (5)

    florentine
    florentine 2011/01/29
    1/28更新分です。思春期です。イタイです。でも、イタイのキモチイイとも思います。
  • 唐草銀河:Ⅱ 『えめらるど・たぶれっと’84』創作ノート公開 (3)

    florentine
    florentine 2011/01/14
    中学二年生のわたしはまさにこんなして小説かいてた気がします。「献辞」に私の名前かいてねって言ってたHちゃん、Kちゃん、Yちゃん、Yさん(書き切れんぞ><)その他クラスのみんなへ☆ ありがとーv
  • 唐草銀河: Ⅰ 「夢語り」 (2)

    florentine
    florentine 2011/01/07
    今回は、レイフェルおじさんが登場してます。「ピンチョン」がパパで「ラファティ」がおじって、わたしの欲望ってば、凄まじいですね☆
  • 唐草銀河:Ⅰ 「夢語り」 (1)

    florentine
    florentine 2011/01/01
    新年早々新連載です。『Q.V.Q.-キャトルヴァンキャトルー』です。『一九八四年』へのか細い声のオマージュでなく(笑)、『ヴァインランド』への「ファンレター」かも、です。どうぞよろしくお願いします
  • 唐草銀河:楽園の箱 11

    Back Index Next 「他のじゃだめなの? それを、返してよ」 「モーリス?」 「もともとおじいさんの船だったんだから」 「でも、仲良くなったひとに絵をかいてもらったのに? それに、わたしにくれたんでしょ?」 モーリスはそっと唇をかんでいます。彼の言いたいことはわかっています。モーリスは、この箱を教会におさめるか、海に流すつもりでいたのです。でも、わたしが彼のためにいろいろと気遣いをしたので、旅の思い出を感謝の気持ちとして贈ってくれたのでした。 「……わかったわ」 ぐずぐずしてもしかたないのでうなずきました。モーリスはいつだってなんでもわたしに譲ってくれるのです。ほしかったオモチャもベッドの位置も、お菓子だってなんだって、マルゴが先に選んでいいよ、と言います。自分で選ぶのがめんどうなのではないかと疑ったこともありますが、今は、そうではないとわかります。それに後々、お父さんとお母さ

    florentine
    florentine 2010/12/31
    おかげさまで無事に最終話を更新することができました。どうもありがとうございます! 次回更新は今夜零時、新連載『Q.V.Q.-キャトルヴァンキャトル-』です☆ 4649!(いちど、やってみたかったのv)
  • 唐草銀河:楽園の箱 10

    Back Index Next モーリスはわたしと違って感じやすい、やわらかな心の持ち主でした。それでいていろんなことに執着して、かわいそうなほどこだわるのです。おじいさんの船を、お父さんが売り払ってしまったことにいちばん傷ついたのも彼でした。おじいさんは、パリで亡くなったのです。海の見えるこの家でなく、病院のベッドの上でした。奇しくもそれは12月30日、聖ヤコブ様の埋葬された日のことです。 だから、ふたりだけになってすぐ、モーリスがその箱をこちらにさしだしてくれたときには、正直なところ、わたしは驚いたのです。箱をあけると、なかにはすっかり茶色くなってからからに渇いたじゃらしと、見覚えのある金色の貝殻が入れてありました。 「モーリス?」 「あげるよ」 「でも」 わたしは貝殻をとりだして、それをモーリスに返しました。わたしもその片割れをもっています。わたしのは、おじいさんがくれたもの。もと

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    florentine 2010/12/24
    くりすますいぶ更新!
  • 唐草銀河:楽園の箱 8

    Back Index Next それから、わたしたち三人はタクシーに乗って聖ヤコブ様の遺骸が納められたサン・ティアゴ・デ・コンポステラへむかい、大聖堂の前の広場におろしてもらいました。 おばあさんはもうさっそく、胸の十字架を握って目を閉じていました。その目じりには大粒の涙がうかんでいます。モーリスはそれを見ないようにして、わたしの横顔を見つめました。 モーリスは、最後にあったときよりもずいぶん背ものびて日焼けして、なんだか思っていたよりはずっと男の子らしくなったように見えました。たっぷりと朝ごはんをべていたのも、わたしには驚くべきことでした。見違えるようになった……というのはすこし、妹としてのひいき目がすぎるでしょうけれど、でも、わたしはうれしかったのです。これなら、両親と対面してもだいじょうぶな気がしました。その緑の目は、この土地にふる雨のような優しさをたたえてわたしを見ていました。

    florentine
    florentine 2010/12/11
    ブクマするの忘れてた(汗)「これは本来モーリスの物語なのに妹のわたしがしゃしゃり出てきたことにとまどいをお持ちでしょうが、もうしばらくおつきあいください。どうぞ、モーリスのためにお願いします」
  • 唐草銀河:楽園の箱 7

    Back Index Next 「モーリス!」 名前を呼んだのが、ほんとうにだったのかどうか、そのときにはもう、わかりませんでした。 「モーリス、モーリス、いるのかい、モーリス!」 ドアをせわしなく叩く音がして、ああ、あれはおばあちゃんだ、と気づきました。おばあさんはおかあさんとそっくりで、せっかちなのです。そう思ってから、それは順番がぎゃくなことに気がつきました。 彼はそれからぱっちりと目をあけて笑いました。見覚えのない天井は、間違いなく昨夜とまったホテルのもの。みんなが泊まる、あの素晴らしいパラドールではありません。もっと手前の、雨のふるこの地方らしい、ぼやけた壁がなんともうすさびれて見える、ホテルの二階の部屋でした。 モーリスは電話に出ようとも考えましたが、けっきょくはおばあさんを先に出迎えることにしました。素足のまま足をおろすと、がはじめてあったときと同じようにすりよってきまし

    florentine
    florentine 2010/12/03
    グランマがママンに似てるって思っちゃうことないですか? じゅんばん逆なんだけどw
  • 唐草銀河:楽園の箱 6

    Back Index Next その夜、いつものようにモーリスはといっしょに丸まって眠りました。のやわらかなしっぽがいくどもモーリスの頬をなで、モーリスはそのたびにきゅっと小さなを抱きしめました。どこか遠くで波の音が聞こえるような気がしたのは、どうやら壊れかけたクーラーのせいだったようです。そのせいか、明け方の夢で、モーリスはと一緒にあのなつかしい岩だらけの海で遊びました。 そこはかつて、聖ヤコブ様の遺骸がたどりついたといわれる海辺でした。 かれらはうちよせる波のうえを、尖った岩の天辺から天辺に飛びまわりながら追いかけっこをしました。落ちたら危ないなんて、ちっとも思いませんでした。翼のついたをはいているような気分だったのです。波飛沫をシャワーのように頭から浴びることもありましたけれど、まるで嫌だとは思いませんでした。塩辛い海の水にごわごわになった白い毛を舐めながら、はまんざら負

    florentine
    florentine 2010/11/26
    全11話、年末最終回予定でようやく半分こしました! 今回は、モーリス少年と猫、海で遊ぶ。夢の岸辺にてって感じです。
  • 唐草銀河:楽園の箱 5

    Back Index Next 「パリからひとりで来たんなんて、すごいね」 長い髪をひとつにまとめた若い女性は、モーリスと同じようにひとりで、この星の巡礼路をバイクで走りとおしたひとでした。やはり絵を描くひとでしたので、モーリスは自分の箱を見せて、そこに訪れた街のことなどを描いてもらいたいと思いました。 「それは光栄だわ。でも、その前に旅の話しを聞かせてくれないと」 彼女はかわいらしいえくぼを見せて、モーリスにも葡萄酒をついでくれました。 モーリスはこわごわとグラスを傾け、ちろりと舌で舐めました。思ったより、苦くはありません。美味しいとまでは思いませんでしたが、葡萄ジュースとそれほど変わらないように感じました。ちょうしに乗って、そのままゴクリゴクリとのどを鳴らして飲み込みました。先ほどと違い、今度はすこし、身体がぽかぽかして雲の上に浮かぶようないい気分になりました。彼女はいたずらっこのよう

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    florentine 2010/11/19
    「とうとう見られずじまいだったゴッホの跳ね橋や、大きくてびっくりした水道橋のこと。修道院の中庭の泉水をこっそり飲んだこと。名前も知らない、絵葉書もない小さな教会のミサ曲が今でも耳の奥に残っていること」
  • 唐草銀河:楽園の箱 4 

    Back Index Next 「どうして助けてくれたんですか」 モーリスはその夜、ベッドに横になってききました。部屋には他にもひとがいて、鼾をかいたり寝返りをうったり、月明かりで書きモノをしていたりしていました。ひさしぶりにふかふかのベッドで眠れるというのに、モーリスはなかなか寝つけませんでした。だから、そのひとも眠っていないことを知っていたのです。 「助けないほうがよかった?」 「いえ、そんな」 そんなふうにこたえられると思わなくて、モーリスはあわてて首をふりました。そして、はぐらかされたのだとわかりました。大人はこういうことをするのです。モーリスの憮然としたようすに気づいて、そのひとは申し訳なさそうな顔でなく、悪戯を見つけられたときのように照れて笑いました。それから、手をのばしてベッドポールにかけてあった帽子をとりあげ、指をたててくるくるまわしながら言いました。 「君が、おれの子供に

    florentine
    florentine 2010/11/12
    モーリス少年は律儀に、昔ながらのやり方で巡礼しています。
  • 唐草銀河:楽園の箱 3

    Back Index Next 翌朝、モーリスはお土産物屋さんで絵葉書を一枚買いました。それは遠くの丘から教会をうつした写真でした。はじめは教会正面の絵葉書も片方だけの塔なのに不恰好に見えずとても素敵だと思いましたが、これは緑の海に浮かぶ豪華客船のように豪華で、しかも荘厳なうえにたいそう頼もしく見えたのです。巡礼の最初の記念にふさわしく感じられました。だから、妹の名前と、彼女のいる学校の名前だけ書いて、その葉書を投函しました。住所もほんとうはノートに書いてあったのですが、届かなければそれでかまわないと思ったのです。 は絵葉書をとくとくと眺め、さいごに線のように目を細くしていいました。 「立ち寄った教会ごとに、葉書をだそう。ぼくは、綺麗な教会の写真が気に入ったよ」 モーリスも深くうなずきました。たくさんある写真の中から、これ、と思うモノを見つけるのはそれは楽しかったからです。それに、すくな

    florentine
    florentine 2010/11/06
    モーリスは妹にヴェズレーの絵葉書を送ります。かれら(少年と猫)の旅は何事もなくうまくいくように思えましたが…
  • 唐草銀河:夢のように、おりてくるもの 1

    Back Index Next わたしの一日は、夢秤の調整からはじまる。 夜のうちに降ってきた夢は、その香音の振れ具合で秤の傾きを変えてしまう。先週この安アパートに越してきた起業家のおかげで、わたしの仕事道具は悪夢のほうに傾きやすい。寝る前に悪戯をして少しばかり心棒をずらしておいたのに、滑稽なくらい斜になっている。 どうやら昨夜、隣の男にはよい夢が降りたようだ。アーモンドに似た甘い匂いが残響にうっすらと揺曳している。彼はいま、夢から醒めたに違いない。わたしは髪をふりはらい、その芳香を胸いっぱいに吸いこんでベッドからおりた。 ふと、この傾斜具合を誰かに見てもらいたいと秤を直す手をとめてみたが、誰に見せるあてもない侘びしい独り暮らしだ。そしてまた、週に一度、依頼があればいいほどの「夢使い」稼業より、日々の真面目な勤労のほうが大事ではないかと、そんなふうにも考えた。田舎にいたころならば思いもしな

    florentine
    florentine 2010/10/31
    ちょっとズレた世界のBL。「夢使い」という不思議な仕事を生業にするコンビニ店員と、大学生アルバイトのお話しです。わりとシリアスですが、ラストは明るく。