歌舞伎座が新開場して丸3年が過ぎた。「こけら落とし」ブームは終わり、空席が目立つようになっている。 松竹はテコ入れのために昨年は中村雁治郎、今年は中村雀右衛門と中村芝翫と大名跡の襲名披露公演を連続して打っているが、いまひとつ盛り上がらない。むしろ、市川海老蔵や尾上菊之助の、それぞれ2歳の長男の「初お目見得」のほうが話題になる。 歌舞伎界で進む世代交代のなかで、ひとつの「格差」が生じている。それは先代から続く格差でもあった……。 文/中川右介 松竹(歌舞伎)は襲名で儲け、宝塚は卒業で儲ける、と言われる。 たしかに、歌舞伎では毎年のように誰かが襲名し、宝塚も誰かが卒業し、そのたびに特別の興行をしている。本来、「特別」だったはずのものが、いまや恒常化していると言ってもいい。 今年、2016年は2人の役者が大きな名跡を襲名する。 中村芝雀(1955~)が五代目中村雀右衛門を、中村橋之助