「8050問題」を全国に広めた川崎通り魔殺傷事件 不幸な形で広まる契機になったのは、2019年5月末に起こった、川崎の通り魔殺傷事件だった。事件後、「8050問題」という単語が、何度も何度も繰り返し、テレビやラジオ、WEBなどのニュースで流れることとなった。筆者もあらゆる媒体で「8050問題」についてのコメントを求められた。いったい、何が起こったのか。周知の事実ではあると思うが、ここで今一度、事件の概要を説明したい。 2019年5月28日、神奈川県川崎市多摩区にあるバス停付近の路上で、区内のカリタス小学校へ通学する途中の児童18人と保護者2人、合わせて20人が、刃物を持った男に突然刺された。女子児童1人と別の児童の保護者である男性1人が死亡。そのほか児童17人が重軽傷、保護者1人が重傷となった。男は、犯行直後に自分の首を刺し、その後、病院で死亡が確認された。 犯行を行った男は、川崎市に住む