「あづい…」 今年は馬鹿みたいに暑かった。地球と太陽の距離が近づいたんじゃないかってくらいに暑く、蝉も暑さが嬉しいのか、ここぞとばかりに鳴きまくり、その声が止むことはなかった。止むことのないその声が頭の中で鳴り響き、余計に暑さは増して、ますます太陽が近づいた。このままじゃ北極の氷が溶けるどころか、海が蒸発してしまうのではないだろうか。そんな具合にあたしが近づく太陽と地球を憂いているっていうのに、それなのにこいつは―えみは― 「そうね、暑いわね。」 どうしてこんなに涼しい顔をしているのだろうか。 「あーづーい!」 「さっき聞いたわよ。だから言ったじゃない。暑いわねって。」 「全然暑そうじゃないじゃないか!」 「そう?これのおかげかしら。」 小さい口から紅く可愛らしい舌を出す。その上には少し溶けた氷が乗っていた。えみも初めのうちはかき氷にして、氷を削って食べていたのだが、元々無精者なえみのこと
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