私は1980年代末期から1990年代前半にかけ、奈良市内に住んでいたことがある。住み始めたころ、不思議に思ったのが近畿日本鉄道(近鉄)奈良線の大和西大寺―近鉄奈良間。小学校でも習う奈良時代の首都、「平城京」の宮跡(国営平城宮跡歴史公園)を横切っているのだ。 平城宮跡は国の特別史跡で、1998年には世界遺産に登録された文化財。その「内部」を電車が通り抜けていることに違和感を覚えた。実際、当時から景観上の問題が指摘されていた記憶がある。 しかし、この問題が解決されるかもしれない。奈良県・奈良市・近鉄の3者は2020年7月16日、奈良県の線路移設案を基本に協議する方向で合意。これまで移設に反対していた近鉄が譲歩し、次の段階へ進むことになった。 かつて「宮跡車両基地」の計画も 奈良県案では大和西大寺駅付近を高架化し、宮跡の西側を高架橋で南下。宮跡南側の奈良県道1号・国道369号(大宮通り)に沿って