米メジャーリーグで活躍する多くの日本人選手を輩出してきた高校野球。スパルタ式の練習方法に批判の声も上がるなか、従来の方法論とは一線を画す選手も現れている。 ***** それは1985年の冬の寒い日だった。高校生だった立田裕和さんは校庭のブルペンにいた。監督に言われ、低めのコントロールの練習をしていた。繰り返し、地面に近く構えられたキャッチャーミットに向けてボールを投げ込んだ。 すると、ピリッとするような痛みが肩に走った。医師が肩の変調の原因を診断することはできなかった。裕和さんが投球フォームを再び取り戻すことはなく、再びマウンドに立つこともなかった。