アカデミー賞受賞映画『ナワリヌイ』に名門の影 2020年8月20日、ロシアの反体制指導者として知られるアレクセイ・ナワリヌイ氏がおそらく露当局の手によって毒殺されかけ、世界は大きな衝撃を受けた。 時は流れて今年3月12日、この暗殺未遂事件などを取り上げた映画『ナワリヌイ』が、アメリカでアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞に輝いた。 ロシア政府の暗部に切り込んだこの映画は、ウクライナ侵攻が始まった後に公開されたことも影響して、日本でも大きく注目された。だが、ヨーロッパ随一と言われる名門が製作に深く関与していたことは、どの国でもほとんど知られていない。 製作スタッフ陣をみれば、アソシエイト・プロデューサーとしてグロリア・ハプスブルクという女性を確認できる。その姓が示す通り、第1次世界大戦が終結するまで中欧に君臨していたあのハプスブルク家のご令嬢だ。 『ナワリヌイ』製作の立役者となったハプスブ