写真・篠田英美 三浦雅士(みうら・まさし)文芸評論家 1946年生まれ。69年、青土社に創業と同時に入社。雑誌「ユリイカ」「現代思想」の編集長などを務めた。構造主義など、世界の思想的な潮流をいち早く紹介。評論家として文学・ダンスなど幅広い分野で活躍する。『メランコリーの水脈』など。 ずいぶん昔に書いたように感じられる不思議な本です。「青春」や「青年」という概念に注目すれば社会や文学をこれまでと違うように捉え直すことができる。そのアイデア自体は若い頃からずっと持っていたし、周囲にもよく話していた。だからそう感じるのかもしれません。 「青春」はいつの時代にでもあったのではなく、産業資本主義と同時に生まれた。英国でシェークスピアが書いたときには意識されていなかったのが、18世紀ドイツのゲーテやシラーが「ハムレット」の影響を受けたときにはそれは青春の文学になっていた。ルソーの影響下に革命前夜のフラ