日々報じられるニュースの陰で暗躍している諜報機関──彼らの動きを知ることで、世界情勢を多角的に捉えることができるだろう。国際情勢とインテリジェンスに詳しい山田敏弘氏が旬のニュースを読み解く本連載。今回取り上げるのは、情報機関関係者も唸るロシア人スパイたちの手腕について。 侵攻下で増えるスパイ工作 ロシアのウクライナ侵攻は長期化の様相を呈している。米TV局「CNN」は、これから考えられる3つのシナリオを次のように指摘していた。 1つ目は、ロシアが東部の二州で攻勢を続けて支配を広げるというもの。次に考えられるのが、戦闘がこう着状態になり、これが何ヵ月も何年も続くというもの。そうなるとさらに多くの犠牲者を出し、世界経済にもより影響を及ぼすだろう。最後にあげられるのは、ロシアが今回の作戦の目的を軌道修正し、勝利宣言をするパターンである。いずれにせよ、すぐには戦闘が終わることはないという見立てだ。