「統一成長理論」の父であり、「進化過程の影響」の研究の先駆者でもあるイスラエル出身の思想家で経済学者のオデッド・ガローは、もう何年も前からノーベル賞に最も近いところにいる学者の一人だ。彼の新著『人類の旅』(未邦訳)は、「経済成長」と「格差」をめぐる謎に迫まるもので、まるで大ヒット映画のように世界30ヵ国以上で同時発売された。 米ブラウン大学のオフィスから、ガローは画面越しに「人類は歴史のなかで徐々に繁栄していったと、長いあいだ信じられてきた」と言う。だが、彼はこの説を否定する。人類は、誕生してからほぼずっと飢えや病が蔓延する過酷で悲惨な生活から抜け出せず、その状況が変わったのは、わずか7世代前のことだというのだ。 どこで「格差」は生まれたのか ──「成長」と「格差」をめぐる大きな謎とは、何でしょう? 成長をめぐる謎とは基本的に、30万年におよんだ停滞のあと、2世紀のあいだに生活水準が大きく