ロシアのウクライナ侵攻により、突如として私たちの目の前にリアルな姿で立ち現れてきた「戦争」。しかし、その哲学的な定義や、人類史における意味が深く考察される機会は少ない。そして、「なぜ人間は戦争をするのか」という根本的な問いも──。 21世紀のいま、それを改めて考える哲学者、フレデリック・グロに、仏「ル・ポワン」誌がインタビューした。 なぜ戦争をするのか?──。 まるで子供の質問のようだが、そんな書名の本がフランスで出版された。もっとも著者のフレデリック・グロ(55)に言わせるなら、哲学とは、子供の質問のような問いに大真面目に取り組み、合理的に考えていくことが多いのだという。 平和の時代に人はなぜ平和なのかと問わない。では、なぜ人は「なぜ戦争をするのか?」と問うのか。グロは162ページのこの著書で、人間の闇の部分を含むこの謎に取り組んでいる。その筆致は濃密かつ明快。かのレイモン・アロンの大著
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