ナチス残党の「生きる道」 イスラエルのエルサレム・ヘブライ大学で軍事史を研究するダニ・オルバフ教授(41)は、新著『逃亡者たち 冷戦下のナチス傭兵の歴史』(未邦訳)で、ヒトラー時代のドイツで要職に就いたナチスの残党たちの戦後の生活について書いている。 オルバフは、彼らの人生を「歴史から捨てられた史実」と評する。 「1945年以降、ナチス党員として生きることは不可能になりました。第二次世界大戦で大敗を喫したら、どんな政治思想も無傷ではいられません。元ナチス党員たちは、世界観やイデオロギー、戦略を大きく転換しました」 本書はモサド(イスラエル諜報特務庁)やBND(ドイツ連邦情報局)、CIA(米中央情報局)など、各国諜報機関の内部文書を含む広範な文献調査に基づいて書かれている。 戦後、ナチスの残党が生きる道はいくつか用意されていた。反ユダヤ主義と反民主主義は捨てられなくても、共産主義との闘争を放