ジャック・アタリの87冊目(!)となる著作のテーマは「教育」である。教育を「伝達の歴史」と捉えて書かれた大著であり、そのなかではスウェーデンの識字教育からメキシコの非宗教的教育に至るまで、広範な知識が展開されている。 そしてこの著作は何より、現在の我々の教育システムが直面する危機に対し、警鐘を鳴らすものだ。人口増加、デジタル技術、気候変動といったさまざまな脅威が押し寄せるなか、未来学者であるアタリは、恐怖と歓喜が入り混じった調子で、目もくらむような展望を語る。 無知とパソコン画面に支配されないため、彼が勧めるもの──それは「ハイブリッド教育」である。 知識の伝達は、社会秩序を維持するための手段 ──なぜ教育の世界史を書こうと思われたのですか。 かなり前から、全世界にわたる歴史書の執筆に取り組んできました。医学の歴史、時間の歴史、それから繁栄、愛、ユダヤ人、食、海の歴史といったもので、それら