2023年に90歳を迎えたオノ・ヨーコが、50年間にわたるダコタ・ハウスでの生活に終止符を打ったと報じられた。このポップ・カルチャーのアイコンが不在となったいま、米「ニューヨーク・タイムズ」紙の記者が彼女への想いを綴った。 ニューヨーク市の不動産界では、多くのものがはかなく移り変わる。ビルは取り壊され、カフェはドラッグストアに変貌し、家賃は上昇する。だが過去50年間変わらないものがあった──オノ・ヨーコが、この街の「ダコタ・ハウス」に住んでいたことだ。1980年12月のあの悲劇的な日、ジョン・レノンがその建物のすぐ外で射殺されたあとも、彼女はなおそこに留まった。 長年のあいだ、観光客もニューヨーカーも、このアーティスト兼歌手にしてニューヨークのアイコンである彼女にひと目お目にかかれたらと願いつつ、アップタウンを歩いてきた。オノの存在が、ダコタ・ハウスの神秘的な雰囲気を支えていたのだ。 レノ