文章を推敲するさい、手を加えられるのはどういうところか。人によってさまざまだろうが、評者の場合、真っ先にチェックするのは「逆接」である。 もうともかくちょっとでもうかうかしていると、「~が…」「~だが…」「しかし…」「~けれども…」といった言い回しでだらだらと文を連ねてしまうのだ。酷いときには一文に「~が」が三つくらい並んでいて、反対の反対の反対だから賛成の反対なのか? と自分で首を傾げるバカボンのパパ状態の文章がこねくり出されていたりする。 「がーがー、おまえはアヒルか」とブツブツいいながらチェックしていき、余分であれば削る、削れないときはべつの逆接表現に置き換える、という作業からまず取りかかることになるわけだが、推敲というとほとんどそればかりやっているような気さえする。 いまや古典の『論文の書き方』(岩波新書)で清水幾太郎も注意を促していたように、他人の書いたものを読んでも、無防備に逆