川口 盛之助 盛之助 代表取締役社長 戦略コンサルティングファームのアーサー・D・リトル・ジャパンにてアソシエート・ディレクターを務めたのちに株式会社盛之助を設立。研究開発戦略や商品開発戦略などのコンサルティングを行う。 この著者の記事を見る
普通なら会社が大きくなるにつれて管理が厳しくなる。だんだん時間や予算の管理が厳しくなって個人の自由がなくなり,いちいち上司の了解を取らなければならない。しかし,これではダメ。社員が何もできなくなってしまう。 ホンダの研究所はそうじゃない。決していいかげんなわけではありませんが,かなりの部分が個人の裁量に任されています。かつて私も相当に自由にやらせてもらった。すべてが勝手に決められるわけではないものの,「会社にとってこれが大切なんだ」と自分で判断すれば,かなりの確率でそのテーマの研究開発ができるのです。そのときはもちろん,会社のお金を使わせてもらう。報告するのは成果が出た後。お金を使った後に,「こういうものができました」とやるわけです。それが許される会社なんです,ホンダは。むしろ,そうでなければ新しい技術なんて生まれてきません。 99%は失敗してもいい バカな失敗はもちろん許されませんが,研
こんなニュースに目がとまった。NHKの新会長に前アサヒビール相談役の福地茂雄氏が就任、職員たちを前に挨拶したのだが、その冒頭に記者らによる株のインサイダー取引問題に触れ「コンプライアンスという当たり前のことから始めなければならないところに、NHKの残念な現実がある」と述べたらしい。 その「残念な現実」という表現にいたく感心した。何とも深遠かつ繊細な言い回しではないか。「危機的」「絶望的」といったおどろおどろしさはないけれど、「憂慮すべき」とかいった、「まあ気にしてないわけでもないから、そのうち何とかしたいわな」みたいな軽い言い方とも違う。すぐにも抜本的対策を講じるべき状況ではあるという適度な切実さをにおわせつつも、その状況を生み出した張本人をむきつけに非難しているというニュアンスはあまり感じさせない。何とも絶妙である。 「残念な××」の火元をたどれば千原兄弟か。確か弟の千原ジュニアが兄の千
彼女は食事の作法は十分心得ていた。 小さなものも口から落としたり、皿に指をいれても指先をぬらしたり、胸の上に食物を落とすというはしたないことはしなかった。 水をのむときは上唇をきれいにぬぐい、あとでコップに油かすをつけているようなことはなかった。 (チョーサー作 『カンタベリー物語』より) 本箱の奧から引っぱり出してきた文庫本の一節だ。 ここで書かれている“彼女”とは、物語に登場する修道女のことだ。私はこの場面が好きだった。だから、女性と食事をする際、グラスに残った口紅のあとをナプキンでさりげなく拭き取るような所作を見せると、私はただそれだけでそのひとを好ましく見ていた。 今回は、口紅の物語――。 * * * 口紅には謎が多い。 私にはまったく縁のないものだ。最近は自分で眉をきれいにカットしたり、男性用化粧品を愛用している男性もいるとは聞くが、唇が乾きやすいひとがリップクリームを塗
最終回となる今回は,初心者には少々とっつきにくいシステム・デザインを,もっと手軽に始める方法について解説する。新しい製品開発ではなく,現在の製品を題材にシステム・デザインを実践してみるというやり方だ。 連載の目次はこちら アジレント・テクノロジー 電子計測本部 R&D プロセスコンサルティング 多田 昌人 既存の製品を題材にシステム・デザインを実施することを「リキャプチャリング」という*1。これは,文字通り製品の考え方・情報を「とり直す」こと。設計資料がしっかり残っていない企業や部門は,再度それを「とる」必要があるし,「とる」必要はなくとも「直す」必要がある場合もあるだろう。 つまり,リキャプチャリングの目的は(1)現状の製品の構造を明確にすること(2)最適な設計にすること--の二つだ。一口に最適な設計といっても「性能が出る設計」「品質の良い設計」「再利用性の高い設計」…といろいろだが,ど
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