基地周辺や離島の土地取引を監視する傍らで、住民の思想・信条を調査、国が危険思想の持ち主と判断した場合、移転を求めることができる――。 菅義偉政権は、こんな人権侵害につながりかねない土地取引規制法案について、今国会の成立を目指している。外国人による基地周辺の土地取引に対する懸念をきっかけに法規制を検討してきたが、法案は広く国民に規制の網を掛けることになった。 自由な土地取引が抑制されれば地価下落を招きかねず、国家による財産権の侵害にあたる。過剰な個人情報の収集は国民監視につながるおそれがある。 法案は3月26日に閣議決定した「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案」。霞が関の官僚用語で、そこに無限の宇宙空間さえ入ると言われる「等」が3つもあり、幅広い対象を規制する狙いをうかがわせる。