新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星(ファソン)15」を発射した北朝鮮。官営メディアは国民が歓喜していると伝えるが、北朝鮮関係筋が明かす内情は大きく異なる。電力は不足し、当局は市民からの「富の収奪」に躍起。金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長を中心とする高位層にも混乱が広がっているようだ。(ソウル=牧野愛博) 党機関紙・労働新聞(電子版)によれば、平壌の金日成(キムイルソン)広場で1日、火星15の試射を祝う軍民交歓大会があった。発射から3日目。出席した幹部は「わが国の千万年の未来を約束した民族史的な大慶事だ」と強調した。大会終了後、花火が打ち上げられた。 だが、視線を平壌市内全体に向ければ、全く違う世界が広がっている。明るいのは、正恩氏の肝いりで建設された「黎明(リョミョン)通り」「未来科学者通り」や富裕層が住む場所だけ。「革命の首都」と呼ばれる平壌でも、比較的一般市民が多い東