RT @hisao_nakai(中井久夫):戦争が大幅にエントロピーの増大を許すのに対して、平和は絶えずエネルギーを費やして負のエントロピー(ネゲントロピー)を注入して秩序を立て直しつづけなければならない。一般にエントロピーの低い状態、たとえば生体はそのようにして維持されるのである。エントロピーの増大は死に到る過程である。秩序を維持するほうが格段に難しいのは、部屋を散らかすのと片付けるのとの違いである。戦争では散らかす「過程」が優勢である。戦争は男性の中の「子ども性」が水を得た魚のようになる。〔...〕負のエントロピーを生み出すためには高いエントロピー(無秩序)をどこかに排出しなければならない。部屋の整理でいえば、片付けられたものの始末であり、現在の問題でいえば整然とした都市とその大量の廃棄物との関係である。(中井久夫著「戦争と平和についての観察」より、『埋葬と亡霊―トラウマ概念の再吟味』
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