「どんな色がすき」という歌がある。歌詞の一番では「あか」が好きである、といい、赤のクレヨンが最初に無くなってしまう、という。その後、2番、3番では、青や黄色が好きだといい、その色のクレヨンがなくなると歌う。これはつまり、人の好みや嗜好の多様性に関する歌で、また親の目線では、我が子に個性が芽生えてきたことを、少し困って見せつつも微笑ましく見守る歌である。 問題は、この歌の最後だ。「どんな色がすき」の後に、「ぜんぶ」と言ってしまう。全部の色が好きだから、全部の色が全て無くなるのだ、と。恐らく、平等だとか公平性などに対して製作者が斟酌したためにこのような歌詞にしたのだと思われるが、多様性や個性を肯定するメッセージがここに至って台無しとなる。非常につまらない歌にしてしまったものだと思う。