郷愁と憎悪 薄れる記憶 ソウル市内にある日本大使館公報文化院。1階の日本書籍を集めた図書室には、高齢の韓国人たちの姿が目立つ。少年のころに学校で学んだ国語は、朝鮮語(韓国語)ではなく日本語だった日本による統治世代の人たちだ。 中学3年まで学校では日本語しか使えなかったという男性(81)は、「今も歴史の本や小説などは、日本語で読んだほうが楽だ」と話す。 ソウル市内の老舗レストランでは毎月1回、「日本文化研究会」が開かれている。研究会は1990年に、韓国の知識人らが中心となって発足。会員は当初50人ほどいたが高齢化などで徐々に減り、現在は15人程度。研究会では日本語が使われている。 113回目のこの日の参加者は5人。全員、80歳以上の男性だった。朝鮮人を日本人化するための教育や創氏改名といった皇民化政策がとられていた時代に、少年期を過ごした人たちだ。 参加者の姜元煕さん(80)は「日本には本当