『週刊新潮』 2010年11月11日号 日本ルネッサンス 第435回 いま、中国に最も狙われている県は新潟県だといってよいだろう。 5年前、中国は北朝鮮の日本海側最北の港、羅津(ラジン)の50年間の租借権を得た。租借は単なる貸与ではない。その地に行政権も及ぶ、まさに植民地時代の遺物のような契約である。 羅津港から中朝国境まで約60キロ、中国はここに幹線道路を作り、これも租借した。歴史上初めて、中国は自国から日本海に直接出入りする道路と港を確保したのだ。 東シナ海はすべて自国の海だと主張する中国は、日本の富も技術も、人材も自然も、すべて中国のために活用するのが国益だと考える。日本海に直接、出入り出来るいま、羅津の真向かいの新潟が日本における中国の重要拠点と位置づけられるのは当然だろう。中国の異常な拡大路線の前に日本が、とりわけ新潟県が、国土や富を奪われないよう最大限警戒しなければならないゆえ