2015年3月の卒業式当日に撮影した写真(写真は高橋幸美さん提供) 2015年12月、電通の新入社員だった高橋まつりさんが長時間の過重労働を苦に、自ら命を絶った。だが現在、この事件を受けても東大生には「自分は過労死をしないから大丈夫」「激務でも自分なら大丈夫」と根拠のない自信を持つ傾向が少なからず存在するのではないか。「彼女の死はあくまで例外的な出来事だから」。就活を控えた東大生の一人がぽつりと口にした言葉から、その根拠なき自信が透けて見えるように感じた。東京大学新聞社は母親の高橋幸美さんや関係者の方々に高橋まつりさんがどんな東大生だったか、どんな思いで電通に就職したのか話を聞いた。高橋まつりさんの境遇は、就活を控えた学生にとって果たして人ごとの話だろうか。 (取材・福岡龍一郎、石原祥太郎、久野美菜子) 「根性無し」ではない 高橋まつりさんは04年、静岡県にある中高一貫校に授業料免除の特待