はじめに ひとたび択び、その関係を継続したいと考えるなら、相手が、相手との相性が、ステキだと信じることは結婚生活の維持に有益だ。そこでひとめぼれや運命といった物語を利用することは無為とは言えない。とはいえ、それは独身脱出後に関係を円滑に継続させるために利用する「物語」であって、独身脱出前の「幻想」とならないよう注意しなくてはならない。そしてまた、独身脱出後であったとしても、この「物語」がいつしか「幻想」へと変質して、たとえばDVを受けながらも相手を運命の相手と信じて離婚に踏み切れないというような悲惨な状況に陥らぬように注意しなくてはならない。 (佐藤信『日本婚活思想史序説:戦後日本の「幸せになりたい」』東洋経済新報社、2019年、165-166頁) 2021年4月期には、奇遇にも同じタイミングで、20代後半(アラサー)のサラリーマンと女子高生との「年の差」の恋愛模様を描くTVアニメが二作品