英語圏諸国の中には,国民の5%〜10%がディスレクシアにかかっていると言われている国がある。ディスレクシアは,他の点での正常な知的発達にもかかわらず,読み書きを身につける能力に影響を与えるのだ。日本でも,その文字体系が英語の文字体系とは大きく異なっているのに,以前に考えられていたよりも多くの人たちがディスレクシアにかかっていることが,最近の調査の結果,わかった。 ディスレクシアは,文字の形を覚えることと,音をその音に対応する文字に結びつけることを,困難にする神経疾患である。ディスレクシアにかかっている人たちには,単語を構成音に分解することがむずかしく,音を文字の形に結びつけることができなくなるので,文字を記憶することが困難になるのだと,信じられている。 ほとんどの患者が,その他の点では,聴覚でも視覚でも知力の点でも,正常な発達を示しているのだが,脳卒中や脳の損傷につながる他の病気や怪我