自衛隊が合憲とされる根拠は何か。先週、国会でそう質問された田中直紀防衛大臣は答えに詰まった。質問者はいわゆる「芦田修正」に言及したが、大臣は「理解していない」とあっさり白旗をあげたのである。 せっかく「助け舟」を出してもらっているのだし、防衛大臣なら、そんな大事な質問には、きちんと答えてほしかった。昔だったら国会が止まりかねない失態ですよ、と言いたくなる人も多かったのではないか。私も大臣の答弁にはいたく失望した。ただ、「理解していない」のに「助け舟」に乗ったりしなかったのは、賢明だったかもしれない。 ≪全く違う近年の政府見解≫ というのも、政府が自衛隊を合憲とする根拠は「芦田修正」ではないからである。少なくとも近年の説明はそうではない。たとえば、平成16年6月18日付の政府答弁書には次のようにある。 「憲法第9条の文言は、我が国として国際関係において実力の行使を行うことを一切禁じているよう