中国の王朝交代と気候変動 先程、プロローグとして図1に書いてあるような事を紹介した訳であるが、これを長いスパンで見てみたら、どういう規則性があるかはいささか判りにくいかも知れない。 なので、史料が豊富に残っている中国を例にとって考えてみよう。長いスパンで見ると中国では、寒冷期が訪れると北方から遊牧民が押し寄せて中国を支配し、温暖期が訪れると南方の江南などで経済が活気づいて中国全域に影響を及ぼしていた。 「偶然ではないか?」あるいは「その当時偉大な指導者が現れたからではないか?」と思われる方も少なからずおられよう。なるほど、偶然その時期に偉大な指導者が現れ、戦争などを経て今までの状況を根本から変革した、という事もあり得ない話では無かろう。 しかし、飢餓は実際的な戦争原因の最たるものであり、また大規模な流行病発生の際のほとんど必然的な準備段階をなす[1]という広く確認された事実がここで突きつけ