03年のイラク戦争時、米国が求める武力行使容認決議の採択に、フランスやロシアは拒否権行使をちらつかせて反対した。当時の米ブッシュ政権は「安保理の機能停止」と批判したが、後に誤った情報に基づいて戦争を始めたことを認めている。仏露の反対はそんな戦争にブレーキをかけたのであり、その意味で安保理は機能したといえよう。 これは話が逆。クルド人自治区では虐殺が進み、また他地域では国連制裁で不正利益と病死者が増えていた。静かなる虐殺と国際不正が進行していた。そして、イラク制裁はブッシュ以前からチェイニーグループがサウジとの関係で決めていたので、大量破壊兵器については名目に過ぎなかった。実際のところ、現在のシリア問題も背後で動いているのはサウジである。ただ、これがイラクと異なりサウジの安全保障には直結しない。 「その意味で安保理は機能したといえよう」ということはない。これがもっともペテンのように動いたのが