イギリスで誕生し、スイスの多国籍企業「ネスレ」から世界へと広まった「キットカット」は当初、日本市場で苦戦を強いられた。現在では300種類以上もの独自フレーバーが開発され、受験生のお守りとまでなったこのチョコレートのお菓子から、現代のグローバル社会が見えてくると、英紙記者は指摘する。 2020年12月、風光明媚なレマン湖畔に本社を置くスイスのチョコレート会社「ネスレ」は、日本で「キットカット ショコラトリー ウイスキーバレルエイジド」のウェブ広告を展開した。三層のウエハースを、アイラ島のウイスキー樽で180日熟成させ「手間暇かけたカカオニブ」から作られたチョコレートでコーティングした商品である(アイラ島とはスコットランドの、ウイスキーの「聖地」である──日本語の広告ではそう謳われている)。 この工程によって、「洗練されたウイスキーの香り、そして、ゆったりした空気感とリラックス感」がこのチョコ