古書店で見つけた従軍記。著者は元陸軍大尉の久保村正治氏、タイトルが示す通り、高等工業高校を卒業して入営、甲幹として陸軍通信学校を卒業、野戦電信第9中隊の将校として一号作戦他に参加した経歴の持ち主。戦争の裏方である通信部隊の従軍記だが、目次をみると「ジュネーブ条約」と題した一節があるので買ってみた。以下、目についたところをばご紹介。 電信連隊と異なり、野電中隊には現役兵の入営がなく、兵員の計画的交代が行われなかった。そのため、日中戦争が始まったときから除隊することなく軍隊生活をつづけ、昭和十七年には六年兵とよばれる信じられないような古参兵がおり、この古参兵を杭州湾組と称した。 (31ページ) 杭州湾? ということで『南京戦史資料集』を見ると、なるほど第十軍の通信隊の中に野戦電信第9中隊の名前がある。この年(昭和17年)の7月にはじめて本格的な補充交代要員が派遣されたという。 (…)また、現役