動き回ることのできない植物は,自然環境が変わると大きな影響を受けます。 いったい植物は環境の変化にどのように対応するのでしょう。 村田教授は,その仕組みを解明し,さらにその成果をもとに,環境の変化に強い植物をつくることに力を注いできました。今回は,耐塩性についての研究を紹介していただきます。 「塩害」という言葉をご存じだろうか。もともとは台風や強い潮風のために海沿いの水田や畑が海水をかぶり,稲やその他の作物が育たなくなることを指したが,今ではもっと広い意味で「土中の塩分濃度が高くなり,農作物が育たなくなること」を言う。日本ではまだそれほど話題になっていないが,食糧不足が叫ばれるなか,世界各地で深刻な問題になりつつある。 人口増加が激しい発展途上国では,台風などの影響を受けやすい海岸地帯での塩害に悩んでいる。また最近はアメリカなどの先進国でも,肥料を繰り返し使うために,温室や普通の農地で土中